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"世界の野球"ヒマラヤを北に臨む国ネパールの野球 第36回「ネパール野球ソフトボール協会の奮闘」

2017年12月27日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 本コラムの第28回「スポーツで広げる友好の輪」でも触れたが、ネパールにとって今年は選挙の年であった。そして11月26日と12月7日には、2015年に公布された新憲法の下での初めての国政選挙となる連邦下院および州議会の選挙が行われた。選挙期間中にネパールの日本大使館から発表された注意喚起によると、選挙期間中には各地で候補者に対する爆弾での襲撃事件が続発したり、投票日には不正行為(他投票所での二重投票等)防止のため車両の走行が禁止されるなど、現地は混乱していたようである。

 ネパールの野球統括団体であるネパール野球ソフトボール協会(以下、NBSA)の役員やスタッフたちも選挙に振り回されていた様子で、野球に手が回らない状態だったようである。実は、ネパールは12月に香港で開催された「WBSC香港国際野球大会2017」(※優勝は香港)に出場する予定であったが、選挙の影響もあってビザ申請の手続きが間に合わず、参加を断念することとなり、大会関係者の皆様に多大なご迷惑をお掛けしてしまった。諸事情はあったにせよ、もう少し早い段階から準備ができていたのではないかと思うと、残念でならない。

 NBSAは2009年に設立されて以来、ネパール各地での野球普及のために奮闘している。ただ、ネパール政府に認められた野球統括団体であるとはいうものの、役員やスタッフは専業ではなく、他に本業を持ちながらNBSAの活動を行っている。そして過去には、政治的な問題でネパールに2つのオリンピック委員会が存在していたことなど、野球のみならずネパールのスポーツ全体にとって逆境となる時代もあった。現在では、国家スポーツ評議会がネパールのスポーツ全体を統括しており、NBSAもその傘下にあってネパールにおける野球・ソフトボールの唯一の統括団体として認定を受けている。そんな中で、彼らは試行錯誤を続け、最近では自らの手で野球大会を開催したり、本年2月にはパキスタンで開催された第13回BFA西アジア野球大会への出場も成し遂げた。

 今月、私はポカラでのグラウンド建設に向けた会議などのためにネパールを訪れた。その際、カトマンズでNBSA会長のアシット・ラナ氏とも再会した。同氏は2011年からNBSA会長を務めている人物である。彼は今後のネパール野球について、「ネパールには、まだ野球が行われていない地域がたくさんある。今後はそういった地域にも野球を広めて行きたい」とネパールでの更なる野球普及への意気込みを覗かせていた。

 そして、その意気込みは現在計画されているグラウンド建設にも繋がっている。ネパール野球関係者の長年の願いであるグラウンド建設でも、彼らの熱意が私たちを動かしているのであって、そういった彼らの願いの実現を後押しすべく、私たちは日々の活動を続けているのである。

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