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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国ネパールの野球「迫られる変革」

2020年12月25日

文・写真=NPO法人ネパール野球ラリグラスの会(小林 洋平)

 2020年も間も無く終わろうとしている。今年はコロナ禍で人々の生活が大きく変わった激動の1年であり、様々なイベントも中止を余儀なくされた。そんな中、私たちネパール野球ラリグラスの会も去る12月19日に「南アジア交流野球教室2020大阪」と題し、元ネパール代表のイッソー・タパ氏(社会人硬式野球クラブ「ナインフォース」所属)や元スリランカ代表のスジーワ・ウィジャヤナーヤカ氏(アジア野球連盟所属国際審判員)らを講師とし、子どもたちを対象とした野球教室を計画していたが、これも中止となった。この野球教室は、2020年の東京オリンピックに向けて子どもたちに国際交流に関心を持ってもらうことを目的とし、毎年この時期に東京で開催していたものを、本来オリンピック終了後となるはずだった本年から大阪に場所を変えたものである。今回の開催にあたっては、コロナ対策のため規模を縮小し、十分な感染防止策を取りながら開催する予定ではあったが、参加の取り消しも相次ぎ、中止することとした。まさに今年を象徴する出来事でもあった。

 1999年から始まったネパール野球の活動の中には困難な時期もあった。例えば2005年にはネパールで内戦が起こったし、2015年には大地震が発生して現地では甚大な被害が出た。2015年の大地震のときは、ネパールが困難な状況に陥る中で、私たちは現地の野球関係者と綿密に連絡を取り合い、現地の要望に即した震災復興支援に尽力した。このように様々な困難を乗り越えながら、私たちは「協働」の理念の下で共に学び合い成長してきた。過去にも紹介したが、活動開始当初、ネパールで野球は全く知られておらず、ゼロからの始まりであった。そんな中で私たちは指導員を派遣したり、現地で野球大会を開催したりするなどネパールでの野球普及に務めてきた。しかし、近年では、現地の野球関係者が自主的に大会を開いたり、国家代表チームを組み国際大会に出場したりするなど、様々な問題を抱えながらも自立した動きを見せていた。現地の人々による自立したネパール野球は、活動当初から目指していたところであるが、それが実現に向かって一歩一歩進んでいく中で、ネパール野球を取り巻く環境も年々変化し、私たちも役割の見直しを図りながら活動を進めてきた。

 ところで、このコラム「世界の野球」に寄稿を始めてから、今回が63回目の記事となる。節目となる第60回目(2020年5月14日掲載)から数回にわたり、一方的な支援ではなく共に学び合う協働といった観点から私が1999年からの活動の中で感じ、このネパール野球のコラムで最も述べたかった内容について寄稿すべく準備を進めていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な状況となり、今はネパールでの状況を伝える記事を優先し寄稿すべきだと考え、当初の内容は事態が落ち着いたら改めて寄稿することとしたが状況は変わらない。今年、ネパールでは3月からロックダウンが始まり、一部のエリアでは現在も学校が閉鎖され続けている。当然、野球の活動も止まっている。ネパールの関係者からは、活動が徐々に再開するのではないかとの連絡もあるが、日常が戻ったとしても以前と同じように活動していくことは難しい。そもそもネパール野球の活動の目的は野球を通じた交流および人間形成であり、人間形成は、ネパール野球に限らず、社会全体にも通じるところである。そして野球交流はそのためのひとつの道具にすぎないと考えているし、そういった思いで活動を続けてきた。環境が大きく変化する中で、ネパール野球の活動には、これまでの活動を基礎としつつも、それに固執することないゼロベースでの大胆な変革が必要なのかも知れない。

 さて、冒頭で触れた野球教室は中止となったが、当日は野球教室用に予約してあったグラウンドを子どもたちの遊び場として開放した。そこに来ていた子どもたちからも「平穏な日常が戻って欲しい」との声が出ていた。本当に大変な1年であったが、その中で私たちは今後に向けての決断を迫られている。

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