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"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「ネパールの混乱と国交70周年記念大会について」

2025年10月27日

文・写真=NPO法人日本アジア球友団ラリグラス(小林 洋平)

 わずか1週間のうちに、ネパールの状況は一変した。比較的落ち着いていた国内情勢は、政府の腐敗や不正への市民の不満が高まる中、主要SNSの利用一時禁止をきっかけに急速に混乱が拡大した。

 9月初旬、抗議デモは大規模化し、8日には警察との衝突で死者19人、負傷者400人以上が発生。その後も、連邦議会議事堂や政治家の自宅への放火、外出禁止令、国際空港の一時閉鎖などが相次ぎ、治安の悪化は深刻な状況となった。さらに、1万3千人以上の囚人が刑務所から脱走するなど、混乱は拡大の一途をたどった。

 そうした中で、12日には最高裁元長官のスシラ・カルキ氏が暫定首相に就任し、来年3月に下院総選挙を実施することが決まった。スシラ・カルキ氏はネパール初の女性首相であり、新体制への期待から、その後は一時期と比べ落ち着きを取り戻しつつある。しかし、長年にわたる政治の腐敗による市民の不信は根強く、状況はなお流動的である。

 こうした混乱の影響で、ネパール野球ソフトボール協会(NBSA)のディパック・ネウパネ会長らの来日は叶わなかった。本来であれば、9月13日に来日し、福島県楢葉町で開催された「キャッチボールクラシック福島大会」(福島ベースボールプロジェクト主催)への参加と、各地での交流活動を行う予定だった。しかし、ネパール国内の混乱によりビザ発給が遅れ、渡航が実現しなかった。福島大会は予定通り開催され、子どもたちが元気にキャッチボールを楽しむ姿が広がっていたが、ネパール側の参加による国際交流は実現できなかった。本来であれば来日し、福島大会に参加することで、現地の子どもたちとの交流を深めることが目的だった。

 また、ディパック・ネウパネ会長らは読売巨人軍の訪問も予定していたが、私が東京ドームを訪れた際には球団関係者の方々から「ネパールの皆さんは大丈夫ですか」と声を掛けていただき、報道で伝わる現地の状況に、多くの人が関心を寄せていることを実感した。その後、関係者と話をしていると、2014年の出来事が思い出された。当時、ネパールの子どもたちを日本に招待した際、東京ドームで練習見学や試合観戦を行った。そのとき現役だった阿部慎之助監督が「今日の試合でホームランを打つ」と約束し、見事にホームランを放った。応援していた12歳の少年は、今ではネパール代表の正捕手として経験を重ねている。過去の体験が、今のネパール野球を形づくっている。

 ところで、来年1月2日・3日にカトマンズで開催予定だった「日本ネパール国交70周年記念野球大会」についても、現地の混乱を受け、延期を視野に入れた中止を決断した。この大会は、前述した福島ベースボールプロジェクトとともに進めてきた、野球を通じたネパールと福島県の国際交流「シャクナゲ交流」の一環であり、今回の福島訪問の際に大会の打ち合わせも予定していたが、状況の変化により年始での開催が困難となった。

 さて、私たちのネパールでの活動は1999年、野球人口がゼロだったところから始まり、今年9月8日で27年目に入った。現地の人々と力を合わせ、少しずつ活動の輪を広げてきた歩みは決して派手なものではない。一つひとつの出会いや経験の積み重ねが、今へとつながっている。 情勢が不透明な中でも、活動の意義を見失わず、今できることを丁寧に積み重ねていくことが大切だと感じている。前途は容易ではないが、歩みを止めず、未来に向かって進み続けるのみである。

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