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"世界の野球"「野球動作〜異国で日本人選手の育成はいらない」

2015年12月4日

文・写真=野中寿人

 野球先進諸国である日本の指導者や、他国の指導者が、インドネシアをはじめとする野球途上諸国において、その国の選手の「野球動作」を見た時に、必ず口にされる言葉があります。
 それは、野球動作が「間違っている」という言葉です。 そして、この言葉をもととし、実際に指導を行った場合、必ず、行うアクションは選手個々への野球動作の「矯正」になります。しかも、その大半が、異国で、その国独自の選手を育成するのではなく、日本人選手を育成したがるというニュアンスを含んでいるのも多いものです。また、この野球動作の「矯正」には、対象とする選手の年齢層は関係が無ないのも特徴にあげられ、代表チームの選手たちへの「矯正」をも矯正の範疇になります。

 更に、次に口にする言葉としては、現地人指導者に対して、今までの指導における「間違った指導」という話へも、往々にして、発展して行くことが多いのが事実なのです。

 では最初に、選手達への「矯正」について述べてみます。インドネシアでの代表チームに所属する選手の構成年齢は、18歳から35歳という年齢層になります。以前にも記載しましたが、彼らは代表チーム入りをすることで給与を得て生活をしています(国からの資金投下される国際大会において)。そして、当然ですが、ある程度、年齢の行っている選手達への「矯正」は身体上にも無理があります。仮に、無理やり「矯正」をさせたとして、その「矯正」の成果が出ず、代表チームから外された場合、その選手にとっての生活基盤の崩壊を招くことになり、野球どころの話ではなくなってしまいます。
 志向性の高い選手は、自身の中で「どこが違うのだろう」「どうしたら出来る様になるのだろう」と、日本の選手との相違を日々探っています。そんな中で、コミュニケーションを計りながら、野球動作上の欠けている部分を、選手自身に分かってもらうことが大切になります。しかし、その後は、身体構造を壊す様な、危険な範囲までの「矯正」はさせてはいけません。今後、現役を終えて、現地人指導者となって行く上で、正しいとされる野球動作は教え、覚えてもらわなくてはいけませんが、この理解と、指導者から選手への、また、選手が自身への強制的な「矯正」の実行は別問題なのです。

 その一方で、身体動作上の筋力動作に柔軟性のある、いわゆる、まだ、動作が固まってなく、応用度の許容が範囲内である幼年層の選手達への「矯正」はしっかりと行わなくてはいけません。国際レベルでも通用する選手の輩出へむけて、この年代は非常に大きな可能性を持っていましょう。しかし、やはり異国においては、日本人選手と同じような育成方法は当てはまりません。これは家系のルーツにおける混血の度合いなどにも大きく関係しているからです。

 次に、現地の指導者についての説明をしてみますと、彼ら指導者は、野球ではなく、ソフトボールの選手だったという背景が往々にしてあります。(この項では、あえてインドネシア流ソフトボールとだけ記しておきます)。そして、彼らが選手として指導を受けてきた時代には、野球を行う上での、的確な動作の教えを受けてきていないという問題があります。従って、彼らが野球を指導するにあたって、正しいとされる野球動作を教えることは困難なのです。「教えたい」「教えなければいけない」だけれども、指導者自身が教わっていきていない未知の部分になるという訳です。
 いずれにせよ、野球途上諸国の選手達や指導者達に対して「間違っている」という簡単な表現で全てを決め付けず、その国の野球に関する歴史上の背景や経緯を考慮して対応をすることが好ましいと判断します。
 仮に「間違っている」との概念だけで、無理やり「矯正」を施した場合、彼らがインドネシアという国に生まれ、今日まで習得してきた野球、また、現在のインドネシア国内でのステータス等の全てを破壊してしまうことを意味します。これは最も注意すべき点であると同時に、以上のことは、野球途上諸国における、野球普及活動上の指導における「1つの教訓」であると判断を致します。

 インドネシア野球は、何が的確とされる野球動作なのかが分からずに、手探りで、試行錯誤しながら進んで来ました。それが、インドネシア人の身体構造と合っていなかったがゆえに、世界レベルの選手が誕生出来ずにいます。しかし、現状、選手の中、若い指導者の中には、その原因の何たるかについては、既に分かっているのです。分かっているが年齢などにより身体上の矯正がままならならず、悩み、苦しんでいるという状況です。
 元来、身体能力が高いインドネシア人です。世界人口第4位、国民総数約2億5000万人強の中には、数年後には、凄い選手になる可能性を持った選手が必ずいるはずです。数年後、数十年後には、インドネシアをはじめとし、他のアジア野球後進諸国の多くの選手達が、日本国内でプレーする時代が到来すると思います。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
野中 寿人(のなか かずと)
1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。

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