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"世界の野球"アジア選手権・日本人監督の挑戦「インドネシア人の体について探求する」

2015年9月17日

文・写真=野中寿人

 前回、インドネシアでは「140キロのスピードを出すピッチャーは存在しない」と述べましたが、ではこの原因は一体どうしてなのでしょうか?
 その最大の原因は野球動作の「バイオメカニズム」にあります。インドネシアは古くからソフトボールが盛んで、ニュージーランドを始めとした欧米文化圏の国からソフトボールの指導を受けてきました。その影響もあり、現時点では地元の野球指導者は全員がソフトボール出身なのです。また、野球の映像は衛星放送でMLBの野球中継のみが観られるという環境もあり、どうしてもバイオメカニズムが欧米式になってしまいます。しかし、肝心の身体は東洋的ですから、この部分にアンバランスが生じてしまいます。このギャップが140キロに到達しないポイントです。

 他のアジア野球後進国において混血度の多い国であれば、筋肉の質や強度から問題は無いでしょうが、インドネシアで野球を行っている選手のほとんどが上記にあてはまりません。野球イコールMLBという野球動作に関する認識と、野球の動作が基本とされていないインドネシア式ソフトボールの動作から、バイオメカニズムに規制がかかっている状態になります。

 また、イスラム教という偉大な宗教が野球の動作上において若干影響を及ぼしているのも事実だと思います。イスラム教では左手は不浄と捉えられていますが、このことから左手・左腕の使い方が野球をプレーにするにあたって不得手に映るシーンが時々あります。打撃においてはスイング時のバット軌道が左肘を中心として波をうった形になる場合が多く、捕球動作時も左肘の動きからグラブの使い方がぎこちなく映ることがあります。
 この“左”という部分においては、過去から現在に至るインドネシア代表ナショナルチームの選手で左投げの選手は1人しか存在しないという事実が物語っており、打撃時において左投手の球の軌道が読みにくいという現象にも繋がっています。

 では、国際大会において120キロ代の投手でいかにして勝ち抜くか?このキーワードは「緩急」です。アジア野球後進諸国においても120キロ代のスピードでは“打撃練習”になってしまいます。逆に、135キロ前後のスピードでねじ抑えるか、もしくは、100キロ前後のスピードで惑わすしかありません。これがアジア第2グループの登龍門であるアジアカップを制する1つの戦略となります。また、国際大会はリーグ戦と異なり1発勝負です。この緩急を当て込めた場合、力量的に試合中での修正も難しく、弱者が強者を負かすといった予想外の勝負が出来る面白さがあります。

 やはり、アジア野球後進諸国の野球向上には、少年期からの東洋的な野球動作を指導して行く必要があります。しかし、間違っても、異国で「日本人選手」を創ってはいけません。これも重要なポイントになります。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
野中 寿人(のなか かずと)
1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。

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