8月26日~9月4日で開催された第5回 WBSC U-15 ワールドカップ(メキシコ・エルモシージョ)。初優勝を目指した侍ジャパンU-15代表は4位に終わったが、選手たちは異国の地でどんな困難な状況に置かれても懸命に戦った。
![主将の本田翔輝(兵庫伊丹ヤング)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_1-1.jpg)
![渡邉颯人(世田谷西リトルシニア)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_1-2.jpg)
![佐藤龍月(東京城南ボーイズ)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_1-3.jpg)
![堀田昂佑(広島廿日市ボーイズ)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_1-4.jpg)
![花嶋大和(千葉西リトルシニア)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_1-5.jpg)
![アメリカに12対6で快勝](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_1-6.jpg)
![チャイニーズ・タイペイに4対6で敗戦](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_1-7.jpg)
国内合宿の際から複数の関係者の間で「過去最強では」との呼び声も高かったU-15代表。主将を任された本田翔輝(兵庫伊丹ヤング)は出場記者会見で「全員で全力で世界一を目指します」と意気込んだ。
待機時間やトランジットも含めれば24時間を超える移動を経てメキシコ入りした選手たち。当然疲れもあったはずだが、開幕戦のパナマ戦から素晴らしい戦いを見せた。
渡邉颯人(世田谷西リトルシニア)、佐藤龍月(東京城南ボーイズ)、堀田昂佑(広島廿日市ボーイズ)の完封リレーで4対0と快勝発進。フランス戦に大勝すると、コロンビア戦でも失点の原因を作ってしまった捕手の花嶋大和(千葉西リトルシニア)が最終回に走者一掃の二塁打を放って逆転し、花嶋は塁上で号泣した。
スーパーラウンドでは、大会連覇を果たすことになる強敵アメリカと初戦を戦った。初回に5点を失いながらも、その裏にすぐ5点を奪い返して追いつくと、その後逆転に成功し12対6で快勝。この大会で終始目立ったチーム一丸の姿勢が如実に表れた試合だった。
続くチャイニーズ・タイペイ戦は4対6と敗れたが、選手たちは引きずることなく、翌日のキューバ戦で素晴らしい戦いを見せる。投手戦が続いたが、藤田一波(取手リトルシニア)のタイムリーやダブルスチール、パスボールで3点を奪うと、先発の辻琉沙(滋賀野洲ボーイズ)がキューバ打線相手に無失点投球。3対0で決勝戦進出をグッと近づけ選手たちは歓喜した。
![キューバ戦で好投した辻琉沙(滋賀野洲ボーイズ)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_2-1.jpg)
![藤田一波(取手リトルシニア)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_2-2.jpg)
![鹿取義隆監督](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_2-3.jpg)
![プエルトリコに9対1で快勝](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_2-4.jpg)
![ベストナインを受賞した金本貫汰(関メディベースボール学院ヤング)](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_2-5.jpg)
![懸命に戦った侍ジャパンU-15代表](https://www.japan-baseball.jp/img/news/press/20220927_1_2-6.jpg)
しかし、ここから思わぬ展開が待っていた。試合後に辻の球数が大会規定を超過していたことが発覚(最終7回2死の時点で1日の上限である95球を超えた96球に達していた)。そのため没収試合となり、0対7の敗戦となった。また、この頃チーム内には発熱者も増えており、複数の選手を欠いた中で戦いを強いられていた。
翌朝、鹿取義隆監督はスタッフを代表して選手たちに謝罪。また選手数名が新型コロナウイルスの感染により離脱しており、3位決定戦に進出できても試合を行えない危機を選手たちも感じ取っていた。
それだけに「このチームで最後の戦いになるかもしれない」という覚悟もあった中でのスーパーラウンド最終戦のプエルトリコ戦は、投打が噛み合い9対1と快勝。その後の新型コロナウイルス検査で陽性者が7名以上になったため、3位決定戦を棄権することにはなったが、前回大会に続く4位入賞を果たした。
また、チームの4番を務め、今大会最多の三塁打2本を含む打率.409を記録した金本貫汰(関メディベースボール学院ヤング)がベストナイン(一塁手)を受賞した。
帰国後、菅原和彦コーチは選手たちの精神的強さが特に印象的だったと振り返る。
「グラウンドを離れると中学生なのですが、グラウンドでは大人でかっこいい選手たちでしたね。メリハリのあるチームでした。所属チームや各連盟の中心選手たちが指導者に言われるでもなく率先して道具を運んだり、声かけをしたり。各ご家庭や各チームでの教育の素晴らしさを感じました」
最大の目標である世界一には今回も届かなかった。また、選手たちにとってはどうにもできない苦難もあり、異なる国での生活も厳しかったものに違いない。それでも選手たちは目の前の試合を戦い抜き、アメリカ、キューバ相手にも結果を残し、世界のトップ4に入ったことは誇りにしていいだろう。
ここから先、高校野球やさらにその上のプロ野球などのステージまで見据える選手たちは、この貴重な経験を生かして、さらに高く飛び立って欲しいと願うばかりだ。
U-15代表経験者には宮城大弥(オリックス)らプロで活躍する選手も複数おり、今夏の甲子園とU-18ワールドカップで活躍した浅野翔吾(高松商)もU-15代表の経験者だ。
今夏、メキシコの国際舞台で奮闘した侍ジャパンU-15代表の精鋭20名が今後、さらなる成長を遂げた姿を見せてくれることを楽しみにしたい。
第5回 WBSC U-15 ワールドカップ
大会期間
2022年8月26日~9月4日
オープニングラウンド
8月28日(日)11:30 日本 4 - 0 パナマ
8月29日(月)11:30 日本 10 - 0 フランス
8月31日(水)11:30 コロンビア 4 - 7 日本
スーパーラウンド
9月1日(木)11:30 日本 12 - 6 アメリカ
9月2日(金)11:30 日本 4 - 6 チャイニーズ・タイペイ
9月3日(土)11:30 日本 0 - 7 キューバ
9月4日(日)7:00 日本 9 - 1 プエルトリコ
3位決定戦
9月5日(月)3:00 チャイニーズ・タイペイ 7 - 0 日本
開催地
メキシコ(エルモシージョ)
出場する国と地域
グループA
メキシコ、チャイニーズ・タイペイ、キューバ、チェコ
グループB
パナマ、日本、コロンビア、フランス
グループC
アメリカ、南アフリカ、ベネズエラ、プエルトリコ、グアム
新着記事
U-15代表 関連記事
総括 関連記事
![]() |
欧州で新たな野球を学び精度の高い日本野球を実践した充実の2週間 /侍ジャパン大学代表大会総括2024年7月22日 |
---|
![]() |
初のアジア制覇にも慢心無し さらなるBaseball5の普及・発展と世界一を目指し挑戦は続く2024年4月17日 |
---|
![]() |
真っ向勝負でプロ選手らに挑み2大会ぶり優勝 アジア競技大会金メダル獲得に向けての基盤を作る2023年12月12日 |
---|
![]() |
随所に見られた高い意識 今後に向けた大きな一歩/カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023総括2023年11月20日 |
---|
![]() |
U-15代表で活躍した度会隆輝やU-18代表の前田悠伍らがドラフト指名を受ける/プロ野球ドラフト会議20232023年10月29日 |
---|