9月24日から27日までメキシコ・ナヤリット州で行われた「第2回 WBSC ユースBaseball5ワールドカップ 2025」に初出場した侍ジャパンBaseball5ユース代表は、16チーム中7位で大会を終えた。





「上には上がいると思いました」
大会を終えて平野将梧(横浜隼人高/横浜隼人Aggressive)がそう振り返ったように、世界のレベルの高さを痛感した大会となった。
グループステージでは、グループCを戦いベネズエラに敗れて2勝1敗の2位となった侍ジャパンは、プレーオフでプエルトリコに勝ちラウンド16に進出した。3月のアジアカップでは勝ったチャイニーズ・タイペイとの対戦だったが、本池太一監督が「アジアカップ以上の力を感じましたし、こちらの対策もしているようでした」と振り返ったように雪辱を許して敗戦。さらにグループステージでは勝っていたトルコにも敗れて決勝および3位決定戦進出を絶たれた。
それでも最終戦となったリトアニア戦。本池監督が「日本のBaseball5のために、次世代のBaseball5のために戦おう」と発破をかけた。その結果、監督・コーチと選手が「今大会で一番良いパフォーマンスができました」と口を揃えるストレート勝ちで大会を締めた。
Baseball5のWBSC公認インストラクターを務める六角彩子コーチは「世界のユース世代のレベルの高さに驚きました」と振り返った。特に女子選手の高いパフォーマンスには驚き、「体の大きさもありますが“Baseball5慣れ”をしていました」と成熟度に感心したという。
その中で侍ジャパンが勝っていくために六角コーチは「若い世代の大会を作っていくことやプレーできる環境を作ること」を課題に挙げた。
来年10月に行われる「DAKAR 2026 YOUTH OLYMPIC GAMES」(セネガル・ダカール)では、年齢制限もあって今大会のメンバーで有資格者は谷尾心瑚(都立国分寺高/5STARs)のみになるが、本池監督と六角コーチから大きな期待を受ける。
本池監督は「選考はまた新たに行いますが、中心になると思っている選手です。自覚もありますし、世界の強豪に遜色ないフィジカルを持っています」、六角コーチは「本番に強い。軸となって経験を活かして欲しいです」と高く評価。谷尾自身も「YOUTH OLYMPICでは世界一を目指したいです」と意気込んでおり、今後が楽しみな存在だ。
そして、高校生の選手たちは現地で貴重な経験もした。本池監督が「食事や匂いについては苦戦しているようでした」と明かすように、慣れない異国の地で悪戦苦闘しながらも、他チームの選手たちと積極的に交流。森本愛華(中京大中京高/日大二高・中京大中京5)が「韓国の選手とゲームをしたり、翻訳アプリを使って会話をして大笑いしたりしました」と振り返ったように、競技を通じて生まれた絆は世界にまで広がった。
六角コーチは「世界に目を向けるきっかけにしてもらえれば」と、今後の人生に活かしてくれることにも期待を込めた。
初出場初優勝を目指していただけに思い通りの結果とはならなかった。だが、このかけがえのない経験をした選手たちが、さらなる競技発展や今後の人生の視野を広げるきっかけとしてくれれば、今大会に参加した意義はより大きなものになっていく。