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"世界の野球"「微笑みの国タイ王国の野球~後編~」

2016年3月16日

写真・文=色川冬馬

 前編では、創設から10年で革新的な成長を遂げたタイ野球を紹介した。その後もタイ代表の快進撃は続き、2006年のアジア大会ではフィリピンを下し、アジア5位と躍進した。タイ代表がアジアで名を馳せることで、日本野球関係者や企業とのネットワークも拡がり、メディア、指導、そして道具等のあらゆるサポートを手にしていったタイ野球。しかし、急激な成長に裏には「一国の代表選手」としての資質に欠ける部分も垣間みえ、タイ野球の脆さとして試合に出てしまう事もあった。その事を危惧した青山氏は、野球を通した教育を掲げジュニア世代からの育成を2001年から本格的にスタートした。後編では、17年目を迎えたタイ野球のジュニア育成(バンコクサンダース)について紹介していきたい。

 2001年、部員8人からスタートしたタイ初の少年野球チーム。手探り状態でのスタートではあったが、2005年にリトルリーグから承認を受け、2008年にはタイ人と日本人を合わせて部員数90名まで拡大した。しかし、タイに一つしかない少年野球チームでは、緊張感のある試合等の実践練習が難しく、試合を組む為に海外へ出る事もしばしばだった。青山氏は、仕事の合間を縫っては現地企業へ足を運び、毎年貧しいタイの現地の子ども達の渡航費を捻出できるようお金を集め続けている。実業家として、指導者として、タイ王国の野球復活に向けた青山氏の献身的な活動は、多くの現地人の心に届いている。

 そして現在、バンコクサンダースにはタイ人、日本人、そしてアメリカ人を合わせた合計70人が所属している。多様化が進む現代社会の縮図を表したかの様に、3カ国の言葉が飛び交い、国籍や肌の色を超えて無邪気にじゃれ合う子ども達がいた。世界的にも子どもを育成する環境として、タイならではの魅力である。また、ここで野球をするタイ人のほとんどが、将来はタイ代表選手としてタイ野球を牽引する存在になる。青山氏の手厚い指導を受け、タイ代表としての自覚を持ち、世界に飛び立って欲しいという想いは選手にも届いている様だ。

 2014年、私は将来のタイ代表有望株であるフック君(当時9歳)と出会った。同世代と比べても大きな身体をしている彼は、入団間もない頃、ルールも分からずタッチしにった相手選手を転倒させてしまった事もあったそうだ。そんな彼が、今回の訪問ではチームメイトへ走塁の指示をしている姿には成長を感じた。身体もさらに逞しくなっており、体重は11歳で80キロもあるそうだ。「野球が大好き」という、彼のような人材が着実に芽を出し始めている。

 近年の少子化の影響は、タイでも人ごとではなくなってきている。それでも、青山氏は「いつかタイ人選手が数人になっても、その子達のために続けますよ」とタイ野球に骨を埋める覚悟をした生き様を話してくれた。日本人と共に歴史を歩んできたタイの野球。今年度、発足から26年タイ野球を支えてきた日系企業の「ミネビア」の撤退決まった。代表チームの活動も縮小を余儀なくされ、今までにない窮地に立たされているタイ野球。日本人である我々と共に歩んできたタイ野球の復活に向け、青山氏の闘志が冷めることはない。

タイ野球の歩み
著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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