9月27日、第4回 BFA 女子野球アジアカップ(10月26日~11月1日まで中国・杭州)に出場する侍ジャパン女子代表の強化合宿3日目が行われた。
この日も栃木県栃木市のエイジェックさくら球場(大平運動公園野球場)で来日中のオーストラリアエリートチームとの合同練習や練習試合を実施した。







練習開始前には栃木市の大川秀子市長が訪問。女子野球タウン(※)認定後初の国際試合や、国際交流が行われていることに感謝の意を述べた上で、両チームへエールとともに、市の特産品であるシャインマスカットを贈呈した。
※女子野球をシティプロモーションとして活用し、地域活性化を目指す自治体を「女子野球タウン」として認定。全日本女子野球連盟とともに女子野球を通じてその自治体を盛り上げていくことを目的に2020年9月から始まり、栃木市は2024年8月に認定。
9時すぎから2時間ほど練習が行われた後は、前日に続いて練習試合が行われた。
先制したのはオーストラリアエリートチーム。侍ジャパン先発の近藤優羽(尚美学園大)が立ち上がりを攻められ、4安打を浴びて2失点。ビハインドを強いられた。
反撃したのは2回裏。4番に起用された真弓心(仙台大)が二塁打を放つと、続く山田恵(福井工業大)がきっちりとバントを決める。このチャンスに上館美乃(仙台大)がタイムリーを放ち、生内アンジェリカ幸(IPU環太平洋大)が犠牲フライを放って同点に追いついた。
続く3回も、1番に起用された花本穂乃佳(日本大国際関係学部)の三塁打からチャンスを作ると、脇坂仁南(至学館大)がスクイズを決めて勝ち越し。4回には真弓の安打でチャンスを作り鈴木はな(東海大)がタイムリー、5回には花本が三塁打を放った後に荒川莉子(大阪体育大)がタイムリーを放った。さらに相手投手の暴投、金田涼々(平成国際大)のタイムリー内野安打でも得点を追加し、試合を決めた。
投げても近藤、平山楓梨(仙台大)、柏崎咲和(大阪体育大)が2回から5回までを無失点に抑えた。
延長タイブレークを想定した無死一、二塁からの攻撃となった6回は、前日は2回無失点だった佐藤美咲(IPU環太平洋大)が2本のタイムリーを浴びて3失点を喫したが、直後に打線がすぐさま援護。小川舞(新潟医療福祉大)のタイムリーで2点を追加した。
7回は佐藤が無失点に抑えると、その裏に木村睦実(大阪体育大)が両翼95メートルのフェンスを越えるレフトへの本塁打を放つなど、7点を追加。7回で試合を切り上げ、16対5の勝利となった。







3日間の強化合宿を終えて、中島梨紗監督は「(大学生で代表を編成し)初めて侍ジャパンのユニホームを着て集まる選手たちですが、応用力や対応力がすごくあるなと感じました」と選手たちの素質に感心。一方で、前日から課題だったバントの精度や走塁の意識についても含め、「まだまだ練習が必要だなと感じて所属チームへ帰ってくれるんじゃないかと思っています。詰められるところはしっかり詰めておくよう伝えたので、やるべきことをやってきて欲しいです」と、次回の招集時までのさらなる成長を求めた。
共同主将の1人を務める山本一花(大阪体育大)は「レベルが高い選手がたくさんいて、良い意味で引っ張られるような印象でした」と振り返り、「ミーティングの中でまだ自己表現が少ないという話が出ました。日を重ねるごとに雰囲気も良くなっているので、全員で詰めてやっていきたいです」と、次回の合宿を見据えた。
国際交流については中島監督が「こんな機会めったに無いので、両チームにとっても貴重な時間になったと思います」、山本が「すごくフレンドリーやなと思いましたし、言葉は通じなくても、伝えたいという思いで伝えることもできました。野球を通じてこうして仲間ができていくのは素敵だなと思いました」と、ともに笑顔で振り返った。この日オーストラリアエリートチームに加わりプレーしたウガンダのザイチュニ・ナカレンベも「とても素晴らしい経験で驚くことばかりでした」と目を輝かせた。
視野を広げ、課題を持ち帰った充実の強化合宿を経て、この後は10月下旬に直前合宿を行い、10月26日からのアジアカップに臨む予定となっている。
選手コメント
木村睦実(大阪体育大)
「スタンドインの本塁打は初めてだったので嬉しいです。来た球を素直に打ちました。国際交流は言語が通じなくても気持ちで通じ合うことができました。(10月の全日本選手権やアジアカップに向けて)持っている力を発揮して勝利に貢献していきたいです」