9月21日、「第31回 BFA アジア選手権」(中国・平潭で9月22日から28日)に出場する侍ジャパン社会人代表が初戦の会場となる平潭棒球公園で公式練習を行った。
選手たちは前日の長時間移動の疲れを感じさせず、球場の状態を確認しながらフリー打撃、ノック、キャッチボールを中心に約2時間、体を動かした。




前日は都内のホテルを早朝に出発し、飛行機の乗り継ぎやバスでの移動もあり、ホテルに到着したのは現地時間20時(日本時間21時)。約15時間半の移動だったが福井章吾(トヨタ自動車)は「座っている時間が長かったので足のむくみが気になりました」としながらも、「人間関係も良好で気疲れもしませんでした」と笑顔も見せた。またホテルは客室がきれいと好評で、トレーニングジムが併設されているなど充実している。
この日は午後13時から約2時間、公式練習が行われた。川口朋保監督は監督会議のため球場に来ることはできなかったが、「選手のコンディションを第1に考えて欲しい」と指示。コーチ、トレーナーを含めた少人数のスタッフも休む暇なく精力的に動き選手をサポートした。
加藤徹コーチは選手の様子を見て「前日の1日がかりの移動もあり、もう少し疲れているかなと思ったが、選手がよく自身のコンディションを意識してやっています」と手応えを口にした。




グラウンドは内野の全面が粘土質の硬い赤土で覆われ、その上に細かい砂利がひかれた日本には珍しい環境。また両翼は97メートル、センターは121メートルと決して広い球場ではない。さらに島にある球場ということで常に強風が吹き、ライトからレフト方向が主な風向きだが、上空の風向きの変化も多く注意が必要だ。
主将を務める逢澤崚介(トヨタ自動車)は定位置のセンターでバックホームでの内野の跳ね方の確認やフライの捕球を行い「風の状況によって打球が伸びたり、失速したりします。打球判断を早めないように意識したいです」と準備を整えた。
また硬い内野にも注意の声が飛んだ。「球足が速いので差されないようにしたい」と話した遊撃手の和田佳大(トヨタ自動車)は「いつも以上にグラブは下からいきます」とノックで何度も感触を確かめた。
投手陣からは、硬さに加えてマウンドの高さに驚く声が続出。スパイクを履いての投球練習は行えなかったが、何度もシャドーピッチングを繰り返した。嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)は「高い方が球速は出る」とポジティブなコメントで、周囲を笑顔にさせる一面もあった。
いよいよ初戦となる22日のフィリピン戦(日本時間10時30分試合開始予定)から連覇に向けた戦いが始まる。加藤コーチは初戦に向けて「監督がミーティングでずっと話しているように、決して背伸びをせずに、自分ができることをしっかりやって欲しい」と力を込めた。直前合宿では投打ともに好調な社会人代表は、初戦からアクセル全開で21回目のアジアの頂点を奪いに行く。
選手コメント
秋山翔(三菱自動車岡崎)
「移動が長かったこともあって、キャッチボールをしていても体幹回りや腰回りが少し動かなかったのでトレーナーさんにお願いしてほぐしてもらいながらやっていきたいです。(前回大会も経験している)他の選手を見ている限り、困っていたり、気負っていたりする人はいないので特にまだ自分が声をかける必要もないのかなと思います。(マウンドについては)少し硬いと感じますが、結構高いのでボールを高めにふかさないように気をつけたいです。踏み込みをしっかり作れば、下に投げるだけで自然と低めにいくのでそこを意識したいです」
添田真海(日本通運)
「長時間の移動は疲れましたが、リラックスして自分の時間に使うことができました。(状態は)試合が始まっていないから分かりませんが、この大会に合わせてしっかり調整はできていますし、結果にこだわってやっていきたいです。グラウンドは台湾のウインターリーグも同じような感じなので悪い印象はないです。天気はあんまり良くなさそうで、風もありますが準備できることはしっかりやっていきたいです」
古川智也(三菱自動車岡崎)
「(環境の変化への対応は)僕はそういう変化を楽しみに変えるタイプなので、どこに行っても問題はないと思います。グラウンドは内野が硬く、(スパイクで)よく掘れるのが気になりました。(状態は)直前合宿の前までは感覚が悪かった中で、練習試合を2試合やってからだんだん上がってきたので、引き続き良い感覚でやっています。守備は打球が速いと思うので、グラブは下からを意識して、体が浮かないようにしたいです。前に落とせばなんとかなるくらいの気持ちで守りたいと思います」