9月11日、「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」(沖縄県で9月14日まで)のスーパーラウンドが始まり、侍ジャパンU-18代表は沖縄セルラースタジアム那覇でアメリカと対戦。延長タイブレークに持ち込まれる激闘の末、6対2で勝利を収めた。






ともにオープニングラウンドを5戦全勝で勝ち上がり、防御率はアメリカが0.44、侍ジャパンは0.64と高い投手力を誇る両チームの試合は、期待通りの熱戦となった。
アメリカの先発左腕ジェームズ・ボールモンの150キロを超えるストレートとキレの良い変化球の前に5回まで高畑知季(東洋大姫路)と阿部葉太(横浜)の2安打のみに抑えられた。
だが甲子園優勝投手の2年生左腕・末吉良丞(沖縄尚学)も負けてはいない。初回に2四球こそ出したものの、「もともと尻上がりの投球なので」と振り返ったように、2回以降は走者を出さずに5回1死まで無安打投球を続けた。そして、大会規定の球数制限で3日後の最終日に登板ができなくなる76球を前に68球で降板。今大会、好救援を続けている早瀬朔(神村学園)にマウンドを託した。
しかし、早瀬はいきなりレフト前安打を打たれると、次打者は空振り三振に抑えたものの横山悠(山梨学院)が捕逸し走者は二塁へ。続く打者の当たりもショートゴロに抑えたかと思われたが岡部飛雄馬(敦賀気比)が悪送球。守備の綻びが出てしまい先制を許した。
さらに6回には相手失策などにより無死三塁のチャンスを作りながらも岡部は空振り三振、藤森はセーフティースクイズの失敗もあり見逃し三振、高畑もセンターフライに倒れて得点できず暗雲が立ちこめた。
それでも選手たちは諦めなかった。7回、2番手としてマウンドに上がった左腕ジャレッド・アダム・グリンドリンガーから先頭の阿部がこの日2本目の安打で出塁すると、奥村凌大(横浜)のバントと為永皓(横浜)のバスターを相手が続けて失策。為永はオーバーランによりアウトとなってしまうが、1死二、三塁のチャンスを迎えた。
ここでアメリカは右腕のトレイ・ランヘルを投入するが、153キロのストレートを横山がライト前へ弾き返し、同点。スタンドは大いに沸き、試合は無死一、二塁から再開される延長タイブレークに持ち込まれた。







延長タイブレークでも侍ジャパンの強みが発揮される。先頭の坂本慎太郎(関東第一)が追い込まれてから6球粘って四球を選ぶと、打席には岡部。「僕のミスから1点が入り、前の打席でも三振をしていたので」と雪辱を期す打席で、ランヘルの152キロのストレートを弾き返し、ライトオーバーの走者一掃の二塁打。見事な一打で3点を勝ち越すと、その後も相手失策や内野ゴロの間に2点をダメ押し。
その裏は、6回2死から救援していた西村一毅(京都国際)の制球が乱れ、押し出しで1点を献上し、なおも一発出れば同点という1死満塁のピンチで石垣元気(健大高崎)が登板。154キロのストレートを3連発して空振り三振を奪うと、最後の打者を155キロのストレートでセカンドフライに打ち取り試合終了。多くの観客から大きな拍手と指笛で祝福される劇的な勝利で開幕6連勝を果たした。
スーパーラウンドの戦績もこれで3勝0敗(オープニングラウンドから持ち越しの2勝を含む)とし、1敗のアメリカと韓国にも直接対決で勝っているため、12日のパナマ戦(18時半から沖縄セルラースタジアム那覇)で勝てば、2大会連続の決勝進出が決まることとなった。
監督・選手コメント
小倉全由監督
「坂本のあの粘りが岡部のタイムリーを呼びましたよね。(同点打の)横山も(勝ち越し打の)岡部もよく打ちました。末吉の調子が良かったので(投球制限の中で)1つでも多くアウトを取ってもらおうと思いました。最後は相手もそんなにストレートを打てていなかったので、ストレートの1番良い石垣に託しました」
岡部飛雄馬(敦賀気比)
「みんなが追いついてくれて、坂本があんなに粘ってくれた。みんなのおかげで打つことができました。試合中に落ち込むとチームの士気に影響するので、反省は後からしようと思っていました。速さと角度があるので顎が上がらないように意識して打ちました。仲の良さは世界一のチームだと思うので野球でも世界一になりたいです」
石垣元気(健大高崎)
「4点差あったので気持ちは楽に投げられました。投手も野手も自分たちの野球ができました。ストレートで押そうと横山とも話していました。点を取られたら行くと言われていたのでしっかり準備できました」
末吉良丞(沖縄尚学)
「試合を作ること、チームを勝たせることを意識して投げました。アメリカは体も大きく振りも強かったのですが、案外ストレートで押し込むことができました。もともと尻上がりでストライクも入ってきて思いきり腕を振ることができました。(登板可能になる3日後に向けて)しっかり準備していきたいです」
ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ
大会期間
2025年9月5日~9月14日
オープニングラウンド(グループA)
9月5日(金)18:30 日本 4 - 1 イタリア
9月6日(土)18:30 日本 4 - 2 韓国
9月7日(日)14:00 キューバ 0 - 3 日本
9月8日(月)18:30 日本 10 - 0 南アフリカ
9月9日(火)18:30 プエルトリコ 0 - 3 日本
スーパーラウンド
9月11日(木)18:30 アメリカ 2 - 6 日本
9月12日(金)18:30 日本 - パナマ
9月13日(土)18:30 日本 - チャイニーズ・タイペイ
3位決定戦・決勝
9月14日
開催会場
沖縄セルラースタジアム那覇、糸満市西崎球場
出場する国と地域
グループA
日本、韓国、プエルトリコ、キューバ、イタリア、南アフリカ
グループB
チャイニーズ・タイペイ、アメリカ、パナマ、オーストラリア、ドイツ、中国
侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表
侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 沖縄県高校選抜
試合日程
2025年8月31日(日)18:00 高校日本代表 1 - 8 大学日本代表
2025年9月2日(火)18:30 沖縄県高校選抜 3 - 4 高校日本代表
開催会場
沖縄セルラースタジアム那覇
出場チーム
高校日本代表、大学日本代表、沖縄県高校選抜