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社会人代表候補チームが練習試合に敗れるも収穫 一貫した方針でアジア大会金メダルへの強化が続く

2024年10月6日

 10月6日、第20回 アジア競技大会(2026年9月/愛知・名古屋)へ向けた侍ジャパン社会人代表候補の強化合宿3日目が東京都八王子市のセガサミー野球場で行われ、この日はセガサミーとの練習試合を実施。5対8で敗れはしたものの、収穫の多い1日となった。

 午前中は霧雨が降り続けていたため室内で打撃練習に励んだ。
「2.5人につき1人のコーチがつくシステムにしている」と坂口裕之アドバイザーが語るように、例年よりもサポートするスタッフの数が多いことに加え、チームの垣根を超え技術的なアドバイスをし合い、お互いを高め合う姿が見受けられた。
 そして13時30分、雨も上がり練習試合が始まった。先攻は侍ジャパン社会人代表候補。この日のスタメンは平均年齢24.9歳と前日(26.7歳)に比べ若い布陣で臨んだ。

 先発のマウンドを任されたのは今年の都市対抗で優勝し最優秀選手賞にあたる橋戸賞を受賞した左腕・本間大暉(三菱重工East)。初回は無失点に抑えたが、2回裏に4連打を浴びて3点を失う。
 それでも侍ジャパン社会人代表候補はすぐさま反撃。1死一塁から9番・城野達哉(西濃運輸)のライト前安打で1死一、三塁とチャンスを作る。川口朋保監督が「今日は四球を多く選べました」と振り返るように、続く打者が追い込まれてからもファウルで粘り、押し出しで1点をもぎとった。
3回裏から登板した谷脇弘起(日本生命)は持ち味のキレ味鋭いスライダーが冴え、四球は出しつつも無失点。4回裏からマウンドに上がった荘司宏太(セガサミー)は、手の内を知られている同僚に対して走者を出しながらも、変化球を織り交ぜ要所を締める投球で2イニングを無失点に抑えた。

 試合が動いたのは5回表。先頭の8番・髙田幸汰(日本生命)が四球を選ぶと9番・城野(西濃運輸)がつなぐ打撃を見せる。続く山本卓弥(Honda熊本)も追い込まれてから粘って四球で出塁し、無死満塁のチャンスメーク。ここで打席に立った2番・樫村昌樹(日本製鉄鹿島)は、「甘い球が来たら積極的にいこうと決めていました」と3ボールから甘く入った球をレフト前へ運んだ。ランナーを溜めてもタイムリーが出ていなかった展開の中で待望の一打だった。さらに4番・清水聖也(大阪ガス)のレフト前安打で2点を追加し、この回一挙3得点。4対3と、逆転に成功した。

 しかし7回裏、6回からマウンドに上がっていた西村王雅(東芝)がとらえられた。3連続安打を許すと立て直すことができず、この回5点を失う。しかし、川口監督は「たまたま今日がダメだっただけであって、大会に合わせたトレーニングしていけば力を発揮できる選手なので、そこは心配していないです」と信頼を寄せた。
 5点を失ったところで、150キロを超えるストレートが持ち味の江原雅裕(日鉄ステンレス)にスイッチ。投球練習から唸るような球を投げ、ストレートで押すピッチングで好救援を見せた。8回には三塁手の相羽寛太(ヤマハ)、一塁手の高橋隆慶(JR東日本)の好守備にも助けられながら三者凡退に打ち取る。2回と3分の1を投げ無失点と好アピールを果たした。

 4点を追う9回表、四球を選び2死一、二塁からこの日タイムリーを放っている清水にまわると、センターへはじき返し1点を返した。最終回にも粘りの攻撃で食らいつく姿勢を見せた。
 結果的に5対8で敗れたものの、合宿当初から一貫したチームのテーマである「打者はゾーンを上げて低めのゾーンを捨てて、ベルト付近のボールをしっかりとスイングする」「投手はストライクゾーンで勝負する」を選手全員が体現しようとしていることを感じ取れた試合だった。

 強化合宿最終日となる7日はエイジェックスポーツ科学総合センターで各選手の計測を行い、合宿を打ち上げる予定だ。

監督・選手コメント

川口朋保監督

「伝えていたやるべきことはできている選手が多かったので、結果は負けてしまったけれど内容は良かったです。走者を出しながら得点できないケースや、個々で反省点はあると思うので、修正して来年、再来年へつないでいって欲しいです。勝つことも大事で当然勝ちたいですが、日本の社会人野球の価値を高めるような、そういう代表のチームでありたいなと思っています」

樫村昌樹(日本製鉄鹿島)

「1打席目、気持ちの整理ができていないまま入ってしまい三振だったのですが、2打席目から冷静に入ることができたので、良いバッティングができました。ここで経験できたことを今後に生かして自分のものにしていきたいです」

荘司宏太(セガサミー)

「(同僚との対戦は)正直投げづらい部分はありしたね(笑)お互い良いところ悪いところは知っているので、力みが今日の反省点です。それでもランナーが出た時に変化球でカウントをしっかり取れていたので、そこは優位に働いたと思います」

清水聖也(大阪ガス)

「良い緊張感の中で試合に臨めました。前の打席で満塁のチャンスをつぶしていたので、ここはちゃんと仕事しようと思って打席入りました。フィジカルが大事ということを言われているので、帰ったら体をしっかり強くすることをメインに今後取り組んでいきたいです」

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