今年9月5日から沖縄県で開催される「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」に出場する侍ジャパンU-18代表。今回は、2019年に開催された「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に出場した沖縄県出身の宮城大弥投手(オリックス)に、当時の経験や今につながっていること、沖縄開催への思いなどを聞いた。
――――まず、宮城投手にとって、侍ジャパンU-18代表はどういうものでしたか?
宮城 すごく大きな目標でもありましたし、夢の一つでもありました。このときはU-15に続いて2回目ということもあって、中学生から高校生に上がったことで、責任感やプレッシャーも重く、強くなったのを覚えています。
――――当時のU-18メンバーは錚々たる顔ぶれで、一緒に野球をすることで得られるものも大きかったと思います。
宮城 すごく貴重な経験でしたね。中学、高校で世界と戦えたことは、もったいないくらいの経験でしたし、沖縄出身の自分は県外の高校についてあまり知らなかったので、チームメイトがみんな雑誌で見たことある選手ばかりで。自分が思っていた以上に壁の高さを感じましたし、「もっと頑張らなきゃ」と思いました。同世代のトップ選手たちと一緒に野球ができたのは、本当に大きな経験でした。
――――特に印象に残っているチームメイトはいますか?
宮城 佐々木朗希、奥川恭伸、西純矢、石川昂弥の4人はすごく有名だったので、ずっと注目して見ていました。一緒に練習してみて、レベルが全然違うなって感じましたし、自分は“選んでもらった”という感覚が強かったので、その4人や他の選手たちは“選ばれるべくして選ばれた人たち”という印象がありました。本当にすごいなと。
――――そんな選手たちと一緒にプレーする経験は、なかなか得られませんね。
宮城 小・中と、どこでプレーしても「自分が一番」と思ってました。でも、U-15やU-18に入ってからは、そうは思わなくなった。常に自分よりすごい選手が近くにいたので、「もっと頑張らないと」ってすごく刺激を受けました。トップに近い位置にいたいという欲もありましたし、その人たちと肩を並べるには何が必要かを考えながら、練習していました。
――――また海外のライバルと戦うという経験も大きかったと思います。
宮城 将来メジャーでプレーしたいとか、海外に行きたいと思ってる子にとっては、すごくいい経験になると思います。そうじゃなくても、日本のプレイヤーのレベルの高さを実感できる時間になると思うので、「入ってよかったな」って素直に思いました。
――――また、大会で覚えているシーンはありますか。
宮城 スーパーラウンド2戦目の韓国戦での死球のシーンです。相手打者の頭に当ててしまって、すぐ謝ったんですけど、相手が「大丈夫」って言ってくれて、帽子を取ってくれたんです。あのときは、お互いへのリスペクトがあった場面だったのかなと思います。本当に助けられましたし、野球の素晴らしさを感じました。
――――試合以外で海外のチームと交流する時間はありましたか。
宮城 U-18ではなかったですけど、U-15のときは宿舎が一緒だったので、一緒にお風呂に入ったりしました。普通に生活してたら絶対できないことですし、中高生で外国人選手と勝負するなんて、野球をやっててもなかなかない経験です。勝ち負けも重要ですが、普段ではできないことをできて本当にいい経験をさせてもらったと思っています。
――――大会全体を通して、今につながっていると感じることは。
宮城 野球そのものじゃなくても、いろんな人とコミュニケーションを取れたことが一番大きかったかなと思います。その経験は今にも活きています。プロ野球の世界でもコミュニケーションはめちゃくちゃ重要です。自分の野球観や、相手の考え方、どうすれば球速が上がるか、体の使い方はどうか、とか。いろんな人に聞いて、自分の引き出しが増えたことで、今もプロでやれてるのかなって思います。こうした経験はWBCのような舞台でも活きてくると思います。いろんな選手に聞けるときにはしっかり聞く。こんなにすごい選手が集まる場ってなかなかないですし、「せっかくだし聞いてみよう」って気持ちになりますね。
――――今年は出身地である沖縄開催ですが、特別な思いはありますか。
宮城 やっぱり嬉しいですね。行こうと思ってもなかなか行けない子も多いので、間近で見て学べる機会ですし、そこから野球を始める子が増えてくれたら本当に嬉しいです。U-18代表のような年代のトップ選手を身近に見る機会は、子どもたちにとって大きな経験になると思います。プロの試合はそう簡単に見られるものじゃないので、プロ注目の選手たちが集まる姿を見て、「自分もそうなりたい」と思ってくれたら嬉しいですね。そして沖縄の野球が盛り上がってくれればいいなと思っています。
――――最後に大会に臨む後輩たちにメッセージをお願いします。
宮城 嬉しいことも悔しいことも、いろんな経験ができると思うので、とにかくこの期間を楽しんで、優勝を目指してほしいです。終わった後にも、絶対活きる場面があるので、ケガせず頑張ってもらいたいですね。この大会に出る選手は、ほとんどが大学やプロで野球を続けると思いますが、たとえ続けなくても、この経験は社会に出ても活きると思います。社会に出てから「こういう経験ができた」と言えることって、なかなかないと思うので。その経験を大切にしてほしいです。
ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ
大会期間
2025年9月5日~9月14日
オープニングラウンド(グループA)
9月5日(金)18:30 日本 - イタリア
9月6日(土)18:30 日本 - 韓国
9月7日(日)14:00 キューバ - 日本
9月8日(月)18:30 日本 - 南アフリカ
9月9日(火)18:30 プエルトリコ - 日本
スーパーラウンド
9月11日~9月13日
3位決定戦・決勝
9月14日
開催会場
沖縄セルラースタジアム那覇、糸満市西崎球場
出場する国と地域
グループA
日本、韓国、プエルトリコ、キューバ、イタリア、南アフリカ
グループB
チャイニーズ・タイペイ、アメリカ、パナマ、オーストラリア、ドイツ、中国
侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表
侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 沖縄県高校選抜
試合日程
2025年8月31日(日)18:00 高校日本代表 1 - 8 大学日本代表
2025年9月2日(火)18:30 沖縄県高校選抜 3 - 4 高校日本代表
開催会場
沖縄セルラースタジアム那覇
出場チーム
高校日本代表、大学日本代表、沖縄県高校選抜