「最後まであきらめない野球」侍ジャパンU-18代表・小倉全由監督インタビュー | U-18 | 侍ジャパンインタビュー | 野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト

野球日本代表 侍ジャパンオフィシャルサイト

メニュー

日本語 English

侍ジャパンインタビュー

「最後まであきらめない野球」侍ジャパンU-18代表・小倉全由監督インタビュー

2025年8月27日

 今年9月5日から沖縄県で開催される「ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ」に出場する侍ジャパンU-18代表。今回は、昨年に続き指揮を執る小倉全由監督に、代表20名の選手選考やチームづくり、チームスローガンなどについて聞いた。

――――全国12万5381人の部員から高校日本代表20人を選出しました。
小倉監督 代表選手を選ぶことが大変というか、一番、大事なことです。

――――今年3月のセンバツ大会、4月上旬、奈良県内で行われた38人を集めての代表候補選手強化合宿、春・夏の大会、甲子園大会を通じての野手の選考基準を教えてください。
小倉監督 野手は走れて、守れる選手。守りだけではダメなので、攻撃もできる人ですが、最低限、しっかり守ってもらう。出塁して、盗塁が仕掛けられる脚力ある選手も必要です。昨秋のアジア選手権では足で助けられた場面がいくつもありました。

――――大会は10日間で最大9試合の過密日程です。全体で20人。投手の頭数も、悩ませる部分でしたか。
小倉監督 昨年は18人中8人が投手。今年も半数近くは入れないといけないと考えていました。投げるだけではなく、外野を守り、登板しない際には打線に加わってもらう。今年4月の合宿では、打撃にも長けた選手がいましたので、複数ポジションを含めて、投手陣の役割が一つのポイントになってくると思います。

――――昨年の高校日本代表では、投手の間木歩(報徳学園高)が主将を務めましたが、20人を束ねるリーダーに求める役割とは何でしょうか。
小倉監督 昨年の間木選手は真面目で、前向きに考えて動いてくれました。私自身も、何度も助けられました。今年に限らず、高校日本代表はチーム結成から開幕まで1週間足らずで、準備期間が少ない。ただ、その中で一つのチームをつくり上げていかないといけないわけです。「日の丸を背負っての野球なんだ!」と。代表選手として戦う重みを伝えながら、主将は指導者の間に入って、選手をまとめてもらう重要な立場です。

――――昨年のチームは18人全員を、夏の甲子園出場選手で固めました。
小倉監督 甲子園組を選出するという、固定概念はありません。4月の合宿に参加しなくても、素晴らしい選手はたくさんいました。情報収集しながら春、夏の大会も各地で視察。選ぶまでの過程に、最善を尽くしました。その中で20人を決めましたので、このチームでやるしかない。

――――チームスローガンはありますか。
小倉監督 それは難しいですね……。最後まであきらめない。全力を出し切って、最後まであきらめない粘っこい野球、それだと思います。

――――U-18ワールドカップの日本開催は、2015年以来です。前回は阪神甲子園球場で行われたアメリカとの決勝で、惜敗しました。今大会は大会連覇、地元優勝が期待されます。
小倉監督 結果はやってみないと分からないことなんですけど、昨年のチームを見ても、選手個々のレベルの高さは感じています。一人ひとりの力を最大限に発揮させるためにも。指導者である自分たちが良い雰囲気をつくって、グラウンドに出してやるか、です。選手たちは結果を恐れず、野手は思い切ってバットを振り、投手は捕手に向かって投げ切っていく形が、結果を生むと思います。

――――短期決戦におけるチームづくりで大切にしていることはありますか。
小倉監督 自分は、気持ちですね。長い監督経験の中で「人として野球をやるんだ」ということです。チームとして一緒に生活していく中で、選手同士の横のつながり、そして我々指導陣との縦のつながりを強固にしていかないといけない。選手の持つ、力以上のものを引き出すのが指導者としての使命だと思っていますので、引っ張っていきたいですね。

――――竹本修ヘッドコーチ、坂原秀尚コーチ、大角健二コーチとの連携も大切になってくると思います。
小倉監督 今回は新たに竹本先生に入っていただいて、指導スタッフ4人で役割分担をしていきます。4月の合宿以降も連絡を取り合い、コミュニケーションを図ってきました。坂原コーチは昨年も投手を見ていただきましたが、確かな目を持たれています。投手の交代時のタイミングで、球筋を見極める場面で、こんなやり取りがありました。「ボールが抜けての四球ではありません。球威があっての四球ですからこの回、もう一人行けます」と。的確な助言であり、自分は任せています。大角コーチは野手全般を見てもらい、選手個々のコンディションを把握。竹本ヘッドコーチには、自分の隣に控えてもらい、相談をしながらゲームを運んでいきたい。選手が最善のパフォーマンスが発揮できるように、サポートしていきたいと思います。

――――昨年のアジア選手権でも経験した、7イニング制はいかがですか。
小倉監督 野球が早い、というのは難しいですね。仮に4回で勝ち越されれば、厳しい状況になる。9イニングならば「まだある」という展開でも、7イニングですと「残りがない」となる。自分は昨年、貴重な経験を積ませてもらいましたので、生かせるかが今年の課題。言うまでもなく、先制点が大事にだと思います。

――――日本はグループAです。オープニングラウンドはイタリア、韓国、キューバ、南アフリカ、プエルトリコとの5連戦が組まれています。
小倉監督 どこも手ごわいです。一戦一戦、一つひとつ勝っていくしかない。スーパーラウンド、決勝のことを考える余裕はないです。目の前の一戦に、全員で集中するのみです。

――――今年は戦後80年。沖縄の地で開催されるのは意義深いと思います。
小倉監督 応援していただける沖縄の皆さんに感謝しながら、日本の高校野球の素晴らしさを伝える機会です。良い野球をやらないといけない。

――――沖縄との縁はありますか。
小倉監督 日大三高の監督時代、何回か招待試合で、沖縄でプレーをさせていただきました。中でも印象に残っているのは2011年。台風接近により、九州の各地区で中止が相次ぐ中で、沖縄では試合が開催できたんです。その夏は、甲子園で全国制覇できましたので、そういう縁もあり、沖縄の地に期待しています。

――――小倉監督にとっては韓国で開催された2012年以来、2度目のワールドカップでの指揮となります。
小倉監督 初めてタイブレークをやらせてもらった大会ですね。大阪桐蔭の藤浪(晋太郎)選手(DeNA)中心で、花巻東の大谷(翔平)選手(ドジャース)もいました。大谷選手は同夏の甲子園不出場で、試合勘とコンディションを整えるのが難しかったようで、100㌫のパフォーマンスを出せなかったと言っていました。いまでも当時の寄せ書きがあるんですが「力を出せず、申し訳ありませんでした」と書いているんです。約1カ月以上、ゲームから離れた難しさは、明らかだったと思います。

――――6位という、難しい戦いでした。
小倉監督 アメリカとのスーパーラウンドで、本塁付近での野球ではないような危険なプレーがあり、あれで日本としては野球が終わったんです。審判員に説明を求めましたが、受け入れていただけなかったのは残念でした。翌日に5、6位決定戦が控えていたんですが、大谷選手は良い投球を見せてくれました。結果的に負けてしまいましたが、最後までしっかり戦ったのは、誇りに思います。悔しさとともに、日本チームの素晴らしさ、高校野球の素晴らしさを実感。6位でしたけど、自分の中では胸を張って帰国してきました。

――――今大会でも、どのような「素晴らしさ」を披露していきたいですか。
小倉監督 日本の野球は確かに、一人ひとりのレベルが高く、野球自体も高度になっていると思うんです。ただ、その支える源となるのは、人としての考え方、マナーなんです。相手チームに対するリスペクトのほか、高校野球の3つの「F」である「Fair play」(フェアプレー)「Friendship」(友情)「Fighting spirit」(闘志)は絶対になくしてはいけないですし、日本の高校野球が世界に発信していくところだと思います。「野球って素晴らしいスポーツだ」という、そういう目で見ていただける、好感の持てる野球を展開したい。ただ、普通に日本の野球を貫いていけば、感じていただけるものだと思います。選手たちは皆、潜在的なものとして持っています。

――――繰り返しになりますが10日間で最大9試合。タフな戦いですね。
小倉監督 きついですよね。自分たちはその厳しさが分かっていますけど、選手たちは経験していない。試合を重ねるごとに疲労が蓄積していきますが、いかに良い状態で目の前の一戦に臨ませられるのか。皆「勝ちたい」「勝たなきゃ」と結果を怖がるのではなく「思い切っていこうよ!」と言っていきたいですね。アウトになれば、次の打者が打てばいい。もし、投手がうまくいかなければ、早めの継投をする。「皆で野球をやろう!」と強調していきたいです。

――――日大三高の監督を2023年3月末限りで退任後、昨年、今年と高校日本代表を指揮。再び現場で指導し、特別な思いはありますでしょうか。
小倉監督 自分はもう、これでユニフォームを着ることはないです。自分にとっては(6位だった)2012年の思いと、(2位だった)24年のアジア選手権の思いを背負い、すべてを力にして、侍ジャパンのユニフォームを着て、思い切って、強い気持ちで頑張っていきたいと思います。

――――9月14日に予定されている決勝後、センターポールに日の丸が掲揚されることを期待しています。
小倉監督 今回は何とか、良い結果を残し、日の丸を揚げたいです。何回も言っていますけど、選手たちにはノビノビ、思い切ってプレーしてもらい、技量だけではない高校野球の素晴らしさ、一生懸命やる姿を見ていただきたい。沖縄の皆さんの応援を力に変え、最高の野球で、優勝という結果を残していきたいです。

侍ジャパンU-18壮行試合 高校日本代表 対 大学日本代表/沖縄県高校選抜 7/5
10:00~ チケット一般発売
ラグザス presents 第32回 WBSC U-18 野球ワールドカップ 7/5 10:00~ チケット一般発売

PARTNERS

DIAMOND PARTNERS

  • 日本通運
  • MUFG

OFFICIAL TITLE PARTNER

  • ラグザス株式会社

OFFICIAL PARTNERS

  • JTB
  • KONAMI
  • 興和株式会社
  • 花王 SUCCESS
  • JAPAN AIRLINES
  • コカ・コーラ

SUPPORTING PARTNERS

  • LAWSONticket
  • UNIQLO
  • mizuno