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"世界の野球"清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記「中国野球へ」

2017年7月10日

文・写真=元 野球日本代表 清水直行

 5月26~28日、一時帰国していた日本を離れ、中国・中山市を訪れた。マカオにほど近い地方都市に足を運んだのには、目的があった。

 この場所は知る人ぞ知る、中国にとって野球の聖地なのだ。かつて、私財をつぎ込んで打撃マシンやボールを買った中国人がいたそうだ。アメリカに住んでいたこともあり、野球の魅力にどっぶりと浸かったらしい。案内された中学校には、ご老人になったこの人の銅像まであった。

 この方から後を託されたのが、地元の有力者でもある男性だった。年齢も私と同年代。この地の一体を開発した不動産事業で莫大な富を築いている。
 今回は、この人から招待を受けた。近く高速列車が止まるという駅に直結した形でスタジアム建設の構想もあると聞き、さすがは中国マネーだと驚いていた。

 しかし、まだピンとこなかった。私をわざわざ招いてくれた理由がわからなかったのだ。

 現地の球場に足を運ぶと、12歳以下の軟式野球の国際大会が開催された場所だという。外野は天然芝が張り巡らされ、内野にはVIP用のガラスで囲まれた客席まであった。そして、彼の口から「日本野球」という言葉を聞いたのは、球場にいたときだった。
 中国が野球に本腰を入れたのは、2008年北京五輪がきっかけだった。個人競技に重点が置かれるお国柄だが、米大リーグから指導者を迎え入れて強化。野球の全国リーグまでできた。

 だが、北京の球場はすでに取り壊され、リーグも衰退。スポンサー企業の撤退も目立つという。底入れのために、彼が導入を目指すのが、日本式の野球だという。
 12歳以下の軟式野球大会のとき、日本の野球少年たちのきびきびとした動き、規律、礼儀正しさに感服の思いだったそうだ。「これこそが、私たちが目指すべき野球の姿だ」。彼はこの地で、子供たちに日本の野球を学ばせたいと思ったということだった。

 中国の野球事情では、暗いニュースばかりでもないという。その一つが学校のクラブ活動。実は野球部の数が増加傾向にあるという。中国の家庭は教育熱が高く、子供たちは小さいころから家に帰れば、勉強漬けの日々だという。クラブ活動はスポーツをする貴重な機会なのだ。

 私は2014年に「日本野球を売り込め」(ベースボールマガジン社)という本を執筆した。ニュージーランドで野球振興や普及に携わるようになり、日本式の野球の素晴らしさをもっと世界へ広めたいとの思いからだった。人間教育に通じる日本の野球の素晴らしさを、どちらかといえば勝利至上主義に走りがちなイメージがあった中国の人から伝えられたことに胸が熱くなった。

 海外で日本野球の活動をしている私の意見にも熱心に声を傾けてくれた。アイデアは頭の中にたくさんある。形にすることの難しさを常に味わってきたが、これだけ熱心な人と手を取り合えば実現できることも多いのではないかと期待を抱けた。とても有意義な時間を過ごせた。

(構成協力:産経新聞社 田中充)

清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記
著者プロフィール
清水直行(しみず なおゆき)
1975年11月24日生まれ 京都府出身。日大、東芝府中を経て、99年にドラフト2位でロッテに入団。2002年から5年連続で規定投球回、2桁勝利を継続し、エースとして活躍。05年は31年ぶりの日本一にも貢献した。04年のアテネ五輪、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表として出場。10年から横浜(現:横浜DeNA)。プロ12年間で通算105勝、防御率4.16。現役引退後は、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐、同国の代表統括コーチを務める。

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