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"世界の野球"日本人指導者の挑戦 香港野球代表「香港野球爆発!するものの・・」

2017年10月13日

文・写真=色川冬馬

 上海戦の翌日、投手陣に比べて前向きな野手を中心に試合を組み立てていきたいと私は考えていた。第2戦目の相手は、中国野球の古豪・広東チームだった。中国野球において、香港代表は広東からすれば格下であり、試合前の雰囲気から広東には余裕があるようだった。私は、このまたとないチャンスを得意の先制パンチで攻め、確実に獲得できる得点を重ねようと伝えた。

 初回1番打者が出塁すると、2番バッターのホームランでいきなり2点を先制した。その後も、3番がヒットで出塁し、チャンスを作った。広東チームにたて込める悪い雰囲気に一気につけこむチャンスであり、この場面は香港野球の進化が問われる状況だった。これまでの格上との試合でも、この場面で攻めきれない弱さがあった。しかし、現実は厳しく、ランナーを塁上に残したまま3点目を取れなかった。

 その裏、香港代表の先発は長身のシングだった。香港投手陣の中では、荒れにくく、見た目からは想像がつきにくい程に球が遅い。剛腕投手のいない中国野球だが、その中でもかなり遅い。私は、序盤3回をなんとか持ってくれと祈っていた。
 しかし、初回から普段のシングより制球が安定せず、球数が増えていく。野手のミスにより1点を与えたものの、初回は何とか最少失点で抑えた。大事なのは、ここからである。2回の表、下位打線とはいえ非常に淡泊な攻撃で、3人で終えてしまった香港代表。その裏、嫌な予感が的中し、先発のシングの制球が乱れランナーを出すと、野手もミスをし、さらには連打で相手打線を止められない。結果的に、シングは途中降板し、2回裏6点を与えてしまった。

 私は前を向いていたが、こうなると香港代表は一部の選手を除いて気持ちのコントロールが不能になる。打線が上位打線に戻り、順当に点数をとるが、守備では相手を止められず3回裏に10失点を喫した。最終的には5回コールド4対19で第2戦を落とした。掴めそうで、掴みきれない香港野球(自分たち)の流れ。安定したパフォーマンスを出せる選手までもが、チーム全体の雰囲気に飲み込まれてしまいそうな危ない状況だった。

 私が大会前に立てたプランは崩れ、チームと選手の心を立て直す必要があった。その日の夜、中心選手を部屋へ呼び緊急ミーティングを開いた。しかし、ある選手から「監督の言うことは分かるし、信じているけど、正直に言うと俺たちは負け慣れているんだよ」と言われた。私もショックではあったが、落ち込むのは今ではないと言い聞かせた。私たちが今できることは、チーム全員で明確な次なるプランを共有し、無理してでも前を向くことしかなかった。これ以上負けられず、勝つことで選手には自信を取り戻すしかないと私は思っていた。

 その晩、選手全員が集まるミーティングにて「現実と向き合い、4年に1度しかないチャンスを最後まで掴みにいこう」と話しをした。その上で、選手起用や翌日の相手である河南チームの特徴などを共有し、私にとっては忘れられない悪夢の大会2日目を終えた。

著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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