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"世界の野球"日本人指導者の挑戦「香港野球代表団の現在地」

2017年7月19日

文・写真=色川冬馬

 この日は、ダブルヘッターで2試合が予定されていた。グアムの気候は暖かく、毎日30度を超えている。また突然降り出し、直ぐに止むスコールは、島にきている事を感じさせてくれた。

 1試合目の先発は、プロ野球選手としてのキャリアを歩み始めた長身サブマリンのケネスを指名した。まだ渡航して1ヶ月ではあるが、皆が、彼のパフォーマンスを楽しみにしていた。しかし、何とか最少失点に抑えていくものの、コントロールがつかず球数ばかりが増えていく展開。打撃陣も、相手投手の経験豊富な投球に翻弄され、思う様に点数を積み重ねられない。最終的に、試合には6−4で勝利したものの「自分たちの野球をしている」というリズム感はなく、試合を終えてしまった。
 負けてしまった方が良かった試合なのではないかと思うほど、今後に大きな課題を残し、私は頭を抱えた。守備では記録に残らない小さなミスを繰り替えし、攻撃ではヒットで出塁するもサインや走塁ミスを繰り返していた。チャンスを相手チームへ献上し、苦しむパターンを何度も繰り返した。
 昼食後、失点した原因について選手と話し合いをした。チームとして、試合の流れを断ち切れる様な、ハッスルプレイが出来る環境作りをしていこうと話し合った。

 2試合目、相手チームはグアム代表にも選ばれる選手が所属するという、今回の遠征では1番いいチームだった。とはいっても、グアムの選手は週末に集まれれば、野球をやる程度であり、個人個人のパフォーマンスはそれほど高くはない。香港代表は、同じく先制するものの、1試合目の変わらないゲーム運びだった。
 制球が安定しない投手にリズムを崩す守備、そして攻撃と守備が繋がらない。打つ方でも、ヒットでランナーを出すが、走塁ミス等で攻撃に制裁をかいてしまう。その後、お決まりの展開かのように逆転を許し、最終回に粘りを見せたが最後も走塁ミスで敗退した。

 私は、これが香港野球代表団の現状だと、まずは自分自身へ言い聞かせた。私と選手が考えている以上に、大きな問題に直面していると感じていた。今回のグアム遠征だけではなく、これまでの試合でも「出来るはずなのに!」という気持ちを残し、試合を終えることが多かった。
 私は、この気持ちを捨てきらない限り、今ある壁を破ることは出来ないと思っていた。今の私と香港代表の選手たちには、「結果を受け入れ、現状を知る」という次に進む為の作業が必要だった。しかし、試合数をこなすことを目的に計画された今回の遠征では、時間をかけて自分たちの野球を振り返る時間が十分になかった。この日も21時に試合を終え、私たちは10時に閉店するレストランへと夕食を急いだ。
 夕食を終えると、既に10時を過ぎており、ミーティングしている時間はなかった。選手たちには、洗濯と明日の移動準備を優先させ、翌朝4時にホテルのロビーへ集合した。選手団は、早朝の飛行機でフィリピンへ移動し、その日の午後にはフィリピンの大学ナンバーワンチームとの試合が計画されている。監督として、予期せぬチームの緊急事態を収集することのないまま、フィリピンへ乗り込むことになってしまった。

著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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