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"世界の野球"アフリカ球児の熱い青春!タンザニア野球“KOSHIEN”への道「現地とともにあれ。」

2017年7月21日

文・写真=長尾 耕輔(JICA青年海外協力隊)

 理想。
 考えうるかぎり最もすばらしい状態・姿のこと。

「こうなってほしいな~」「こうなればいいのに!」
 仕事や普段の生活、また、人生においても “理想” を抱くことがみなさん多々あるのではないでしょうか。
 ここタンザニアで野球が始まって、約5年。当時、そこにはどんな理想があったのか。そして、その理想に向かってこれまでどんな道のりを歩んできたのか。今回は “理想” をテーマにし、今ある ”現実”と比べながら、前回よりもまた1歩、タンザニア野球の核なる部分に迫っていこうと思います。

日本人の理想

 約5年前、ある日本人によって始まったタンザニア野球。「タンザニアやアフリカを引っ張っていくリーダー的人材の育成」を目標に掲げながら、「大好きな野球をタンザニアへ広めたい」一心でここに “野球” が始まりました。
 日本とは違い、体育の授業が必修ではないタンザニア。1人が生涯に行う運動種目が圧倒的に限られ、運動の選択肢が少ないことは言うまでもありません。そんな現地の方々にとって、物を投げるなど、普段あまり行わない動作を含みつつ、全身運動ができる野球が運動の選択肢の1つとして増えることは決して悪いことではなかったと思います。
 また “間のスポーツ” と言われるほど、ワンプレーごとに “考える時間” が与えられている野球。一球ごとの間合いに変化を察知し、仲間と状況を確認し合い、よりよい選択を判断しなければならないので、“人材の育成” という面にもプラスに働いているように感じます。

理想へのプロセス

 具体的には、青年海外協力隊といったボランティアが中心となり現地指導を行い、資金や道具は、タンザニア野球に興味を持った国内外の方々のサポートにより確保してきました。野球連盟を設立し、野球を新たに始める学校もでき、野球人口も少しずつ増えていきました。滑り出しは順調だったように思います。でも、全てがそう簡単にはいきません。野球を始めた日本人がいなくなり、とり残された人々。その辺りから、少しずつ上手くいかなくなり始めました。理由は大きく分けて2つあります。

1.指導者不足
 1番経験の長い選手でも野球を始めて数年。野球を確実に広めていくために、初めは、ある程度の知識・技術を持った指導者が必要です。その中で指導者の多数を占めていた青年海外協力隊。基本的に任期は2年間です。配属先からの要請によって派遣されることから、任期終了後に必ず後任が来るとは限らず、後任が決まってたとしても、前任との間が空いてしまうこともしばしばあります。また、それぞれが配属先での活動とは別に、地域などでボランティアとして野球指導を行っていた場合がほとんどだったので、後任が野球指導の引き継ぎを出来ない場合もあり、指導者がどんどん不足していきました。

2.資金不足
 TaBSA(タンザニア野球・ソフトボール連盟)を設立したものの、運営資金の調達システムが確立できず、完全に国内外のサポーター頼りとなっていました。連盟の活動費等も日本からのお金を元にしていたので、そう長くは続きませんでした。今現在は送金が打ち切りとなり、どうにか首の皮一枚繋がっている状態です。

消えなかった野球の火

 指導者が減り、資金が不足し、万事休す。。都市部でさえ、日本人指導者がほぼいなくなり、地方では指導者がいない状況も続き、野球がこの国から消え去ってもおかしくありませんでした。しかし、ここで途絶えなかったのは、一度始めた野球とその魅力に引き込まれた子どもたちをなんとかしようとした大人たち、そして、何より野球を愛してくれた子どもたちの存在でした。
 特に地方では、まだ野球を始めて数年の年上の選手が、数少ない経験をもとに、たった1人で年下の子どもたちに指導を行う姿がありました。最近では、各学校や地域、野球連盟にも協力隊員が入り、都市・地方ともに指導者が増え、持ち直してきてはいますが、苦しい時期にタンザニア野球を支えたのは、紛れもなく現地の子どもたちだったと思います。資金面に関しては、まだ具体的な解決策を模索中で、今まさに正念場を迎えているのも事実です。

始めること・続けること

「野球を誰も知らない土地で、ゼロから野球を始めた!」
「アフリカで野球をやっている!!」

 これを見て、みなさんはどう感じるでしょうか。聞こえはいいですよね。何かを新しく始めること、ましてや異国の地ですからなおさらで、“0を1に変える” ことは、そう簡単にできることではありません。でも、大事なのはその言葉のもう少し深いところにあります。

「どうして野球を始めたのか。」「なぜ、野球なのか。」 そして、それがただのエゴではなく、そこに確かな “志” と “本気でやりきる覚悟” があるのか。ここが中途半端ではっきりしていないと、始めることはできますが、続けることは難しいと思います。
 野球を異国の地で始めたものの、指導者やお金の問題で衰退してしまった国がいくつもあります。しかし、そこには明らかな理由があって、同じ過ちを絶対に繰り返してはいけないと私は思います。ただ興味本位で始めて“エゴ”で終わるのか、それとも、志を胸に最後までやり遂げるのか。そこには大きな違いが生まれます。

希望を胸に着実に1歩ずつ。

「2020年の東京オリンピックに出よう!」
「国際大会に参加して、アフリカNo.1になろう!」
 理想を掲げ、突き進んでいく姿勢はとても大切で、選手のモチベーションにも繋がります。もちろん、可能性だってゼロじゃない。でも、心は熱く、頭は冷静に。
 今、現地がどんな状況なのか。何があって、何が足りてないのか。現場の声は?自己満足になっていないか。その先に何がある?
“理想に走りすぎず、現実を忘れない。そうして、理想の姿を求めていく”

 野球というスポーツが、ここタンザニアに、そして、世界中に広く深く伝わっていくためには、ただ “理想だけ”を追い求めるのではなく、現地と1つになり、着実に1歩ずつ進んでいくのが1番の近道だと思います。
 だからこそ、まだまだタンザニアではマイナー中のマイナーな野球ですが、いつかタンザニアが世界と肩を並べるようになった時、“現地の方みんな”が、心から応援できるような基盤作り、環境作りを私は目指していきたいです。

“現地とともにあれ”タンザニア野球。

著者プロフィール
長尾 耕輔
1993年12月31日生
2016年6月より青年海外協力隊(体育)としてタンザニアの中等学校へ派遣され、体育教科の指導・普及のために活動を行っている。赴任先の中等学校で、体育と共に野球の指導・普及活動にも携わり、運動を通じて、子どもたちが“人として”大きく、深く、広く、成長できるよう、活動に取り組んでいる。

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