主砲の一打はチームの攻撃に対する意志そのものだった。岡本和真(智弁学園)が振りぬいた打球はクイーン・シリキット球場の右中間の最深部まで転がった。「タイミングが完璧ではなくて、たまたまの結果です」。今大会放った4本の長打はすべて右方向。そこには春のセンバツで見せたレフトへの豪快なホームランの姿はなかった。変わりに、チームの姿勢を貫くものだった。

予選リーグ3日目の中国戦。中国代表一の身長180センチを誇る卓瑞勝に対して、3回に9番・淺間大基(横浜)の左中間への二塁打で先制すると、この回一挙に6点を入れた。その後も得点を重ねて10安打で11得点の猛攻だった。投げては今大会初先発の飯塚悟史(日本文理)から初登板の岸潤一郎(明徳義塾)へと繋ぐリレーで小柄な選手が揃う中国打線を完全に圧倒。2試合連続のパーフェクトリレーとなる7回コールドで勝利し、決勝トーナメント進出を決めた。
岡本は予選3試合で11打数6安打5打点。4番の重責は果たしているが今大会は右方向への打球が目立つ。「右方向を意識しているわけではないですけど、低い打球を打とうとは思っています」と自己分析。それは「本塁打ではなく、勝利に貢献できる打撃をする」と豊富を述べた大会前の記者会見の時から一貫したものだった。

岡本に限ったことではない。日本代表の打撃は「低い打球で野手の間を抜く」というスタンスで一致している。ただ、序盤はそれができずに打球を上げてしまい、今大会初めて1回、2回と3者凡退が続いた。高橋広監督も「各チームで中軸を打っている選手ばかりなので、どうしても強振してしまいます」と冷静に分析した。
さらに、海上雄大アシスタントコーチは試合中のチームの雰囲気について、「選手たちはベンチで『上げるな』『叩け、叩け』と声を掛け合っていました」と振り返った。そのせいか、3回の6点以降、再びフライが続いてもすぐに修正し、6回の4点に繋げていた。共通意識がチーム全体に浸透した3勝目だった。

明日の休養日後、いよいよ9月5日から決勝トーナメントが始まる。高橋監督は、「代表といってもにわかチームからのスタートだったが、選手の性格なども含め手応えは8割方つかめたと思います」と前を見据えた。その言葉は、10日あまりの調整期間を考えれば、自信を深めた"8割"と言える。
好調を維持する岡本も投手のレベルが一段上がる次戦以降をにらんで自分に言い聞かせた。「これまで同様ホームランを狙うのではなく、野手の間を抜いて勝つためのバッティングをします」。
この試合では足を使ったプレーも随所に出ており、選手の意識は確実に決勝トーナメントに向かっている。決戦の舞台へ向かう準備が整った中国戦だった。
インタビュー動画(主将として、捕手としてチームを牽引、栗原選手)
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