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コラム 星野監督インタビュー

2008北京大会

みんなのハートが”真っ赤っ赤”だった。まさしく日の丸の色だった。

野球日本代表監督 星野仙一 週間ベースボールマガジン 2008年1月7日号より

フィリピン、韓国、台湾を撃破し、北京五輪出場権を獲得した、あの感動から1カ月がたとうとしている。もう少し余韻に浸っていたい気持ちもあるが、2008年はいよいよオリンピック・イヤー。8月の本選に向け、監督、コーチ、選手、スコアラー……金メダルをかけて戦うすべての人々が、すぐにまた動きだす。「時計を止めてほしい」と冗談交じりに話す星野監督も、すでに8月のことを考えているに違いない。アジア予選の激闘を振り返りつつ、北京への抱負、さらには野球界へのメッセージをお聞きした。

宮本と上原は別枠

――『週刊ベースボール』では2週にわたって、アジア予選の結果を読者にお伝えしました(12月17日号、24日号)。選手代表としては新井選手にお話をうかがったので、きょうは監督の言葉で、あの激闘を振り返ってください。
(新井のインタビュー掲載誌を手に) 新井は大きくなったよなあ、精神的に。野球人生で初めて、ああいう気持ちで野球をやったんじゃないか。(山本)浩二(守備走塁コーチ、元広島監督)も認めとったよ。「成長した。不器用な男がここまでになったか」というようなことを言ってたな。
――その成長は、日本代表に選ばれて、四番を務めたからこそですよね。
小笠原や(高橋)由伸が元気だったら、どうなったか分からんからね。新井がプレッシャーでつぶれたら、森野を使おうとも考えていたし。取り越し苦労だったけどね。新井はもう、外せんよ。あそこで、あれだけの力を出してくれたんだから。
――相当、自信になったでしょうね。
と、思うよ。すごかったなあ。頼もしく見えたもんね。敵として戦ってるときは、欠点が目に付いたけども、今回はベンチで見ていて、なんかやらかしてくれるという頼もしさがあった。アイツの目つきを見たときに「やってくれる」と思ったね。
――目つきが変わったのは、大会が始まってからですか。
いや、もっと前からだね。恐らくアイツ、背中を痛めてたはずなんだよ。肩から腰にかけて、ず〜っとアイシングしてたから。オレは笑って「カゼ引くぞ、そんな格好しとったら」と言ったけども、背筋を相当、痛めてたみたい。それだけ重かったんや、ジャパンの四番というものが。でも、アイツはそれを担ぎ通したからな。
――阪神入りする前の「鍛錬の場」としては、最高でしたね。
そうだなあ。神戸から(FA移籍で)悩んでる姿を見ていて、一段落ついたときに、「バカヤロー。悩んでるときのほうがいいバッティングしてたじゃないか」と、冗談交じりのホンネで怒ったことがあったけどね。
――阪神ファンは新井選手を頼もしく感じたと思います。
そりゃあ、関西は大喜びだよ。スポーツ紙は毎日、1面で『新井』『新井』『新井』。星野より新井だよ。やきもち焼いちゃったよ、オレは(笑)。いいんだけどね、選手がそうなってくれるのが一番だから。
――今回、初めて一緒に戦った選手のほうが多いわけですが、新井選手以外に、見違えた選手はいましたか。
みんな見違えたよ。プレーそのものよりも、ハートなんだよね。ハートが本当に、同じ方向を向いて、同じ色に染まっていたというのかな。
――その手ごたえを感じたのはいつですか。
宮崎(直前合宿)の終わりごろかな。宮本がようやってくれたからね。「こっちを向けーーー!」と、強引なまでに。感謝してるわ、アイツには。
――監督が言いにくいことも、すべて選手に言ってくれたそうですね。
今までは、オレがそれを言ってたわけよ。でも、「宮本が(選手を)集めた」って言うから、あ、そうかと。オレが言うとくしゅん≠ニなっちゃう場合もあるし、言いたいことは宮本が全部、言ってくれると分かってたからね。彼は自分の役割を理解していたし、こちらもそのつもりで任せた。コーチ会議にも、疲れているのに来てもらって、そこで現場の意見、選手の意見、国際試合についての意見を言ってもらった。われわれにもはっきり意見を言ってくるし、めちゃくちゃ貢献してくれたな。
――そもそも、宮本選手のリーダーシップは、どこで見極められたのですか。
いろんな情報を取った。メディアからも、チームメートからも、高校時代は片岡(篤史)、立浪(和義)の1級下だったから、そういうところからも。選手会の役員としての発言を聞いても、非常にバランス感覚のいい男だなと。
――だから、シーズンの成績は関係なく招集すると決めていたわけですね。
そういう男が必要だからね。短期間にまとめようと思ったら、特に。それに彼はオリンピックの経験者。オレたちも、ものすごく勉強させてもらったよ。
――宮本キャプテンは外せないですね。
命綱。アイツもプレッシャーだと思うけどね(苦笑)。でも、アイツは別枠。アイツと上原は別枠。
――上原投手のことも絶賛されていました。
すげえわ、アイツは。オレにここまで言わせるんだから、たいしたもんだ。
――あの場面(韓国戦の9回裏、1点リード)で、あのピッチングができるということがですか。
それと、あの短期間でフレンドシップを前面に出しながら、きちっとまとめたというところも、たいしたもんだと思う。
――やはり、日本の勝因はチームが一つになれたということでしょうか。
みんなのハートが真っ赤っ赤≠セったからね。まさしく日の丸の色だった。
――個人プレーに走るような選手は全くいなかったわけですよね。
全くいなかった。ホントにもう、なんで命を削ってまで……そこまで行ってないんだろうけども、感覚としてはそうだった。なぜそうなるんだろうと客観的に考えたら、オレが一つにしたとか、やる気を起こさせたとかじゃなくて、選手によってそうさせられた、という感覚のほうが強いね。選手の熱さ、燃えたぎるものについて行った感じだな、終わってみれば。
――選手選考にあたっては、「日本のために」という気持ちを持った選手を優先したいとおっしゃっていました。
ましくその通りだよ。あの飛んだ≠謔、な西岡が、人のプレーでガッツポーズして……「お前、働いてないじゃないか(笑)」というときにでも、自分が打ったように喜びを表現する。ベンチ全員がそうだったからね。あれはもう、みんなが真っ赤っ赤に染まってる感じだった。

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