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"世界の野球" ”アフリカからの挑戦・赤土の青春” ウガンダベースボール「強化活動について~いつかは大敗を~」

2016年9月29日

文・写真=長谷一宏(JICA青年海外協力隊・ウガンダ野球ナショナルコーチ)

「まじめでシャイな第一世代、問題児だらけの第二世代、素直で無邪気な第三世代」

 ウガンダ野球協会の活動は大きく2つ。野球の普及と強化です。前回は普及活動についてのお話しでした。今回は既存選手の強化活動に焦点を当てます。

 みなさんは「アフリカ野球」というとどのような想像をするでしょうか。「ルールもわからない裸足の少年達が日本人から指導を受けながら、無邪気に草原を走り回る姿」でしょうか。確かにその一面もあります。しかし、それとは真逆の「きちんとルールを把握し、ユニフォームを着た青年達が現地人コーチから指導を受けながらグラウンドで熱心に練習に打ち込む姿」が見られることもまた真実なのです。

 ウガンダの野球は三世代に分けると理解しやすいと思います。

第一世代(21歳以上)
日本人による指導を受けた最初の世代。野球交流イベントのために2006年、2008年に来日したメンバーもいる。現在は就職を機に野球から離れている者も多いがコーチとして関わっている者もいる。日本でプレーをしているポール(22歳)もこのカテゴリに含まれる。

第二世代(16歳~20歳)
第一世代からの影響を受け、幼い頃より野球に触れていたため、第一世代より技術レベルが高い。2010年、2011年の世界リトルリーグ選手権、2014年のU-18ワールドカップ予選で活躍するなど国際大会経験もある。技術、経験に優れる彼らは第三世代からの憧れの的であり、それ故影響力も強い。

第三世代(15歳以下)
野球を始めた時期は早いが、試合には年上の第二世代の選手が出場することが多く、国際大会への出場経験もないため、第二世代より成長が遅い。主戦力である技術と経験に優れる第二世代への憧れが強い分、良い面、悪い面も影響を受けやすい。

 今年から日本の支援により7チームで国内のリーグ戦がスタートしました。技術の向上はもちろん、各々が目標を持ちその達成のためにトライ&エラーを繰り返す場にしてほしいと思っています。各チームで指揮をとるのはこれまで日本と関わってきた第一世代の選手達です。
ムピジチーム→ベナード(2008年来日)
ガヤザチーム→センパ(2008年来日)
ルウェロチーム→オケロ(2014年に1年間日本の独立リーグでプレー)
ルガジチーム→ヘンリー(2012年リトルリーグ世界選手権に帯同。日本チームに感銘を受ける)
シェアリングチーム→ジョージ(野球協会前会長として日本人ボランティアの積極的な受け入れ)

 このように各チームで日本との関わりのあるウガンダ人スタッフが指揮を取り、日本野球の長所を活かしたウガンダ野球をつくりあげようと奮闘しています。第二世代の選手達は主力として活躍し、各チームのエースピッチャーは皆130kmを記録しています。
 さて問題はこの第二世代の選手達です。上述のように各チームの主力を務める彼らは他の世代より技術、経験に優れているため発言力が強く、チームに様々な影響を及ぼします。
 仮に悪い振る舞いを行ったとしても下の世代から見れば「あの選手がああするなら自分も」といって真似をするため第二世代をどうコントロールしていくのかが今後のウガンダ野球を左右すると思っています。

「いつかは大敗経験を」

 さて第二世代の選手達。素晴らしい面もたくさんありますが、そうでない面も多々見られます。
「自分達は上手いから海外から支援があって当然なのに、なぜないのか」
「自分達の技術は日本でも通用するのに、お金がないから日本に行けないだけ。環境が悪い」
「バッティングマシンや筋トレ機材が欲しい。それがないとやる気がおきない」
という発言、ダラダラとした態度や審判への挑発的な抗議などのマナーの悪さも一部の選手に見られました。そしてそれは下の世代へも影響を及ぼします。

 皆さんはこのような振る舞いを目撃したとき、どのように感じるでしょうか。
「調子にのるな!!!!!!!!!」と怒りたくなると思います。しかし個別に話をすると皆いい選手ばかりです。つまりパーソナリティが悪いわけではないのです。
 辿りついた結論は「本物を知らない」ということ。彼らはこれまで本当に優れたチーム、選手を知る機会がなかったのです。

 第一世代の選手達よりも第二世代の選手達のほうが上手い。そして経験もある。私のような日本人がプレーをしても「確かに上手いけど、それはコーチだから」ということで日本にこのくらいの技術レベルの選手がゴロゴロいることを想像できません。態度の面も同様です。例えば「道具を大切にしよう」というルールを設けてもそれは長谷の価値観によるものだという認識が強く、優れている選手が皆道具を大切に扱っている姿を想像できません。つまり彼らはアフリカ野球の最前線にいるが故、モデルがないのです。日本やアメリカは野球が強いという情報は知っていても、自分達に毛が生えた程度の強さで、ある程度戦えるだろうとしか思っていないのです。

 そしてある時ふとこんなことがよぎりました。
「あーそういえばあいつらボロ負けしたことがないんだ」
よく考えると彼らは大敗をした経験がないのです。自分達はまだまだだなと感じられるような強いチームを体感として知りません。

 2011年のリトルリーグ世界選手権では中東・アフリカ予選を突破するも、ビザ申請の問題で本選に出場できないという事態がありました。また2014年のU-18ワールドカップ予選では圧勝が予想された南アフリカを相手に善戦し関係者を驚かせました。
こうしたことが重なり、自分達の実力は世界でも通用すると過信しているのでしょう。そしてビザ申請問題で出場辞退を余儀なくされた経緯は世界に出られないのは実力ではなく環境が悪いという言い訳をするクセを作ったように思います。過去に対戦をした中東の国々や南アフリカよりも遥かに強い国があり、そこでは自分達と同い年にも関わらず、技術、精神両面に優れた一流の選手達がゴロゴロいることを体感して欲しいと思っています。

「ウガンダチームが日本へ遠征し、各地で試合をして大敗を重ねる」という企画を実行することが今の私の夢です。強くなるために自分達の弱さを知ってほしい、そこで心の根を揺さぶられた彼らは自身の振る舞いを改め、下の世代へその経験を伝え、きっとウガンダ野球の発展へと寄与してくれることでしょう。

「ウガンダチームを大敗させたい」
一見笑われてしまいそうなこの企画、みなさんはどう思いますか?

著者プロフィール
長谷 一宏
1987年10月6日生
2014年10月より青年海外協力隊員としてウガンダ野球協会へ、選手の指導及び指導者育成のためナショナルコーチとして派遣されている。「ウガンダ野球の自立的・持続的な発展」を目標とし、各チームへの技術指導に加え、リーグ戦の運営、学校への普及などを行っている。

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