

捕手の条件
マスク、プロテクター、レガースと重装備の捕手は野球という団体競技の司令塔です。名捕手あるところに覇権ありといわれるほど重要なポジションであり、やりがいのあるポジションです。 捕手には次の4つの条件が必要です。
- 強肩と丈夫な肉体
捕手は試合中に立ったり中腰になったりします。重装備のままファウルボールなども追います。大変な運動量です。しかも、突進してくる走者をブロックしなければなりません。捕手は体力のある丈夫な肉体が必要です。加えて敵の盗塁を刺殺するため、強肩でなければなりません。
- つねに冷静沈着な精神(ファイトある行動)
相手チームの作戦、味方チームの動きなどに注意しながら、監督の意図を投手や野手に的確に伝達し、プレーを組み立てなければなりません。チームがピンチに立ったときこそ冷静沈着に最善のプレーを考えます。捕手の自信喪失はチームメイトに連鎖し、自信過剰は判断ミスにつながります。
- 的確なヘッドワーク
味方投手の球種と威力、コントロール、守備力、精神力などあらゆるデータを知っていなければなりません。次に相手打者の特徴、好きな球、脚力なども収集しなければなりません。収集したデータを分析し、勝つためにはどういかすのかを的確に判断、試合を組み立てなければなりません。
- 鋭い洞察力
様々なデータを収集し的確に判断したとしても相手の作戦は防ぎきれません。相手チームのサインを解読するだけでなく、選手の表情や相手ベンチの雰囲気から作戦を読み取る洞察力も必要です。
捕手の技術
- 基本の構え
- (1)両足を肩幅よりやや広めに平行に開く。つま先はハの字。
- (2)中腰で構える。体重は両足の親指のつけ根におきバランスをとる。
- (3)ミットは人差し指が真上を向くようにタテに構える。捕球から送球への移行がスムーズになり、突き指の防止にもなる。
- (4)どんな球にも反応できるようリラックスし、軽く両脇をしめ肩の力をぬく。ヒジは90〜100度。構えたミットは投手の目標になる。ミットの頭をやや前に倒し、手首を柔らかくしてストライクゾーンの最下部に構える。投球動作が完了するまで動かしてはならない。
- 走者がいるときの構え
- (1)送球にそなえ、左足を前に出して右足をやや引いて構える。
- (2)できるだけ打者に接近する。接近するとバッテリー間の距離が縮まり投手が心理的に楽になる。何よりワンバウンドとファウルチップの鋭く角度が変わる球に対応できる可能性が高くなる。
- (3)極端にミットを動かして構えると球種やコースが打者にわかってしまう。送球や打球処理に対して機敏な動きが取れるようオーソドックスな構えがよい。身体を移動して構える時は、ストライクゾーンの半分が限度。動くタイミングも極力遅くする。
- キャッチング
正しい捕球をすると心地よい捕球音が響き、投手は球の走りや回転に自信をつけます。同時に打者を威圧し、審判からの評価も高くなります。
- (1)正しいミットの使い方
ミットはストライクゾーンにそって円形に、つねにタテに使用する。ヒザより高い球は人差し指が上に、低い球は人差し指が下を向く。腕はやや前方に伸ばし静止した状態で捕球し、捕球後幾分、身体の中心に向かって包み込むようにすると捕球音が響く。ミットで球を追ったり引きながら捕球すると、投手や審判にストライクゾーンが明確でなくなる。つねに球をミットの中心で受けるようにすると捕球音も響き、捕球した球の状態が一定しているので球をつかみ出しやすい。
- (2)目を離さない
捕球が完了するまで、絶対に球から目を離さない。ファウルチップなども目をつぶると一瞬筋肉が萎縮し、捕球ミスにつながる。次に起こるプレーへの対応も遅れる。
- (3)右手の位置
右手は親指を中にいれたグーを軽く握る。走者のいないとき、右手はお尻の後ろに隠してもよいが、ミットの真横、真裏に軽くそえる。捕球が完了するまで手のひらは投手に向けない。大ケガの原因になる。
- サイン
- (1)姿勢
背中をやや丸め、両脇を軽くしめる。両ヒザは胸の幅。ミットを左ヒザ前に置き、三塁コーチャーから見えないように手首を下に向ける。
- (2)出し方
サインはできるだけ内股深く出す。指が下がり過ぎると後ろから見えることがある。右脇が緩むと、右側からも盗まれることがある。右足は投手の方向に向け、一塁コーチャーから見えないようにする。
- (3)その他の注意
夏期でも七分袖のアンダーシャツを着る。ファウルチップ、ワンバウンドの投球などから身を守るばかりでなく、サインを出すときの筋肉の動きでサインを盗まれることがないように。
- スローイング
捕手のスローイングは「素早い動作」「力強い球」「正確なコントロール」「クセのない球(後ろ向き逆回転)」の4つの条件が要求されます。捕手のテイクバックは投手の半分、球は耳のすぐ後ろで止まります。送球方向に正確にステップし、腕は最後まで振りぬきます。 送球フットワークはホップステップ・スロー(右足のステップと左足を出しながらの送球)が基本です。送球姿勢が高いとバランスが崩れます。送球目標は塁上30〜50p位の高さで内野手がタッチしやすいように走者の進入してくる側に送球します
捕手の守備
- キャッチャーフライ
フライのなかでは最も難しいものです。もともと当たり損ねの打球ですから不規則な回転です。上にあがった球は多くの場合、「r」字に落下していきます。後方にあがったボールはホームプレートに近づきながら落ちてきます。諦めずにおいかけるべきです。後方の両サイドにあがったボールはホームプレートに近づきながら、やや内野寄りに落ちてきます。投手側にあがったボールは投手側に向かって落ちてきます。前方にあがったボールは落下地点に素早く行き、反転した方が捕球しやすくなります。
- (1)姿勢
打球は、上にあがるスピードと落下してくるスピードが違う。どんな変化にも対応できるようヒザ、ヒジに余裕をもつ。両足は揃えずやや前傾姿勢。
- (2)ミットの構え方
オーソドックスなのは顔の前にミットを構えること。ヒジに余裕があり目の近くで捕球できるのでミスが少ない。頭上にミットを構える利点は雨や太陽の光を遮りながら捕球できること。ヒジが伸びきらないように注意する。腰の近くにミットを構える利点は特殊な回転でファンブルしそうな球の捕球をしやすいこと。
- (3)マスクの処理
球の行方を見定めるまでマスクは保持し、その上で打球と反対方向にマスクを放り出す。しかもある程度遠くに放り出す。遠距離飛球には素早くマスクを放り出して走り出さなければならない。
- (4)内野手との連携
フライが内野手の守備範囲にはいったら、できるだけ内野手に任せる。捕手は重装備で動きが不自由。ミットより内野手のグラブの方が、フライの流れる性質からも処理しやすい
- バント処理
当たり損ねのボテボテのゴロを含めてバント処理は、投手と内野手の守備能力をよく把握しておかなければなりません。また、打者走者と塁上の走者の脚力も見極めておかなければなりません。それらを総合して、どの位置で誰が捕球したらどこに投げるのかを瞬時に判断します。日頃から内野全体の連携プレーは綿密に練習しておきましょう。
- (1)声での指示
連呼すると意外に聞き取りづらい。一度か二度、大きな声で正確に指示を出す。声を出すタイミングが遅れるとミスにつながる。
- (2)ピッチャー前のゴロ
捕手は飛び出した方向に送球しやすいが、投手は後ろ方向への送球になり体勢が崩れやすい。打球が動いている間はミットと右手両方で捕球し、停止したときのみ素手で捕球する。
- (3)一塁方向へのゴロ
捕手は捕球したらフェアエリアにステップインし、打者走者に当たらないように送球する。送球目標は一塁の内側1m。一塁にはいってくる内野手のスピードを見ながらタイミングよく送球する。
- (4)三塁方向へのゴロ
打者走者の後ろから取りにいく。球はファウルグラウンド側から処理するほうが送球動作へ移行しやすいし、走者を目で捉えやすい。
- 本塁の守り
バックホームは外野手からと内野手からの二種類あります。外野手からのバックホームは目標となるように両手を上げて大きく構え、内野手からのバックホームは中腰で構え素早くタッチにいけるようにします。捕手が後逸すると誰もいないので、即失点につながります。ショートバウンドは捕球できなくても前に落とす、左右にそれたボールは確実に捕球してからタッチにいくという基本を守りましょう。
- (1)ブロックのルール
捕手はボールを持っていないとき、あるいは捕球しようとしていないときホームプレートをブロックしてはならない。バックホームが完全に間に合わないときは、ホームプレートから離れて走者がプレートを踏んだかどうかを確認する。
- (2)ブロックの方法
捕球体勢を取っているときは左足でホームプレートの先端一角を踏み、走者がタッチできる空間を空け、そこに誘いこむ。捕球と同時にその空間に左足をいれブロックする。スライディングに対しては両足をしっかり地面にふんばり、左足のレガースが走者に正対させる。体当たりしてくる走者には腰を低く構え、球の入ったミットを胸に持ってくる。走者に恐怖感を抱き体が萎縮するとかえってダメージが大きくなる。
- 暴投処理
暴投を上手に処理することほどバッテリー間の信頼が深まることはありません。どんな球も止めてくれる捕手がいてこそ、投手は安心して大胆に攻められます。ワンバウンド処理の基本は、ボールをお腹の中に抱え込むようにして勢いを殺し、体で止め、前に転がすことです。
- (1)ショートバウンド
両ヒザを同時に落とし、両腕を脇腹につけボールを受ける面積を広くする(体をお椀にするイメージ)。股間を抜かれないようミットをおとし、右手はミットの後ろに添える。ボールを前に転がすには常に体を正面に向ける。
- (2)両サイドのショートバウンド
両サイドへの迅速な動きはフットワークを使う。体全体を移動するには時間がかかるので、小さくそれた場合には球がそれた側のヒザをできるだけ早く動かす。このとき動かす足はやや前方へ。こうすると体全体がホームプレートを向き、球がホームプレート上に転がる。
その他の注意
- 投手の投球練習
キャッチボールのときから中腰姿勢でスタートし、投手に意識して低めを投げさせます。ミットは投球目標です。投手が投球動作に入ったら動かしません。投手のウォーミングアップが終わったら投球練習です。
- (1)ミットはストライクゾーンの最低位に構える。
- (2)練習時のキャッチングは雑になりやすいので、メリハリをつけ、元気よく声を出して投手をもり立てる。
- (3)ワイルドピッチがあっても不快な態度はとらない。
- (4)漠然とボールを受けるのではなく、ボールの回転やスピードなどを注意深く観察し、投手に知らせる。
- 試合前に確認しておくこと
風の方向、強弱、太陽の位置、グラウンドの状態などを知っておく必要があります。また、ホームプレートからバックネットまでの距離、一・三塁からダッグアウトまでの距離など球場全体の構造も知っておくべきです。
- 投手のリード
投球の組み立てをリードするだけでなくピンチに立ったときの精神面のリードも必要です。声をかけ気を落ち着かせたり、マウンドまで行き打者とのタイミングを外したりします。最も重要なのが勇気を持たせることです。そのためには一番得意なボールを投げさせることです。低めや外角中心に投げさせることも大切です。一塁が空いていれば、敬遠も頭の隅に置くべきです。また、油断をしている走者がいたらケン制で刺すことも考えます。